こんにちは!ごっつぉLIFE編集部です。
おでかけをすると
「その土地でしか味わえないおいしいものを食べたい」
と思うものですよね。
「ごっつぉLIFEグルメ」では、
各エリアでご登場いただいた皆さんから
地元の熱愛グルメをご紹介いただきます。
知る人ぞ知る名店から、注目の新店まで
ジャンルもさまざま。
そこに暮らす人だからこそ知っている、本当においしいお店が登場します。
第11回目となる今回は
弥彦ブリューイングの羽生雅克さんからご紹介いただいた
三条市にある「Restaurant UOZEN(レストラン ウオゼン)」さんです。
私がおすすめします!
目次
のどかな田園風景の中に佇むフレンチの名店
「Restaurant UOZEN」があるのは、JR燕三条駅、三条燕インターから保内・加茂方面へ車で20分ほどの場所にある三条市の東大崎地区。「大崎山」との名前で親しまれている永明寺山の麓周辺にある、住宅街の一角にあります。
三条市の中心部から車を走らせて向かうと、周りには田園風景が見えてきます。
取材に訪れたのは3月の中頃。遠くに望む山々、春を待つ圃場や畑と、自然を肌で感じるのどかな雰囲気が漂っていました。
看板や目印となるものはないため、車のナビを頼りにお店に向かいます。
田んぼ道の途中にある住宅街の角を曲がると、右手には田んぼが広がり、その突き当たりにあるのが「Restaurant UOZEN」です。
一見、一軒家のようにも見えますが、こちらは以前、オーナーシェフの井上和洋さんの妻・真理子さんのご両親が日本料理店「魚善」を営んでいました。
フレンチが主体のお店ではありますが、店内には随所に日本料理店の名残があります。
そして、こちらは靴を脱いで入店するスタイル。
早速、お店の中にお邪魔して、オーナーシェフの井上さんご夫妻にお話をお聞きしました。
素材を求めて海、川、山へ
UOZENがオープンしたのは、2013年のこと。
オーナーシェフの井上和洋さんは香川県出身で、フランス料理の名店「KIHACHI」や都内数軒で経験を積み、2005年には東京・池尻大橋で自店「HOKU」をオープンしました。
「生まれ育った香川は、新潟のように自然が豊かな場所。幼い頃から見よう見真似で川や海で魚を取り、その魚で料理をするようになり、料理の道に進みました」と井上さん。
新潟でお店を始めたのは、妻・真理子さんのご両親が営んでいた日本料理店「魚善」を閉店したことがきっかけでした。
「魚善」は地域で親しまれてきたお店だったこともあり、内装などを少し変えて井上さん夫妻で店を受け継ぐ形に。UOZENという店名も、魚善の名前をそのまま生かしています。
新潟に移住してからは、井上さんの考え方に変化が表れたといいます。
「新潟に来てから数年間は田舎でゆったりした気持ちでお店をやっていこうと考えていましたが、いろんな方とのご縁があり、さまざまな地場の食材が手に入るようになりました。何より、幼い頃に過ごした香川での生活を思い起こさせるような、自然の豊かさや恵みに触れる機会が東京にいた頃よりも多くなりました。そうした中で、自分の手で得たもの、あるいは新潟という風土や土壌で育まれてきたものを食材として使い、料理で表現したいと思うようになりました」。
お店が休みの日は海や川、山へと出かけ、食材となるものを自分で獲ってくるという井上さん。
海では阿賀野川から佐渡沖へ出てマグロや鯛、キジハタを釣り、川ではアユをつかみ取って来ることもあるそうです。
山では愛犬の「はつ」を連れ、熊やイノシシ、シカ、野鴨などを仕留めることもあります。
「お店のコンセプトとしては、料理で新潟の風土、テロワールを表現することです。例えば、雪国だからこそできる雪下で育まれた野菜であったり、ジビエや山菜など旬の食材を取り入れることもそれに当たりますよね。新潟で暮らし、海、川、山へと食材を調達するようになってから、その土地でしか作れない味、味わえない料理を思い描くことで、一皿の本質にも変化が表れました」。
さらには野菜やハーブなども自ら畑で栽培。料理に仕立て上げる前の素材、その一つ一つにも井上さんは真摯に向き合っています。
自ら狩り、加工する、ジビエへのこだわり
海、川、山へと、季節と地場の自然の恵みを求めて出かける井上さん。
その中でもひときわ注力しているのが、山での狩猟で得られるジビエ。
3月を過ぎた頃から残雪を踏みながら、三条市や旧下田村の山に入り、愛犬の「はつ」と共にイノシシやシカなどを狩りに出かけます。
「狩猟は縁があって狩猟をする料理人の方を紹介してもらったことがきっかけで、自分で免許を取って狩りをするようになりました。仕留めた獲物は車のトランク後方に設置した台に乗せて帰り、レストランの隣に併設した加工所で、仕留めたその日のうちに処理を行っています」。
加工所も見学させていただきましたが、野生動物特有の獣臭さは一切感じられません。
扉の向こうには、和洋さんが前日に仕留めた大きなイノシシが横たわっていました!
「ジビエは匂いや味にクセがあって苦手という方もいらっしゃいますが、それは処理の仕方に左右されるからです。正しく処理を行えば、臭みやえぐみも感じません。ジビエほど滋味深さを感じる肉はないと思っています」。
獲物は丁寧に解体され、肉だけでなく骨や血、脂、内臓なども大切な食材として扱います。
店内で置いてある手作りの「肉醤」もその一つ。瓶詰めのため一見、漬物か何かかな?と思いましたが、これらはイノシシやシカの肉を塩漬けした井上さん手作りの発酵食で、UOZENでは料理の調味料の一つとして利用しています。
店内の所々に熊の毛皮、鳥の剥製、頭蓋骨などが飾られています。どれも命あるものを料理としていただいている、そんな食材への慈しみを感じます。
新潟のテロワールを一皿に込めて
UOZENの料理は「シェフのおまかせコース」(16,000円/消費税・サービス料別)が用意され、ランチ・ディナーとも完全予約制。約2時間半から3時間ほどをかけて、じっくりと料理を堪能するスタイルです。
井上さんが調達してきたものによって料理は日々変わりますが、今回は料理の一例をご紹介。料理はいずれも、マダムの真理子さんによって一品ずつ提供されます。
さまざまな形、材質の器に盛り付けられた料理は、まるで芸術作品。
細部にまで趣向を凝らした料理からは、自然の恵みが醸し出す彩りや命の息吹も感じられます。どういった食材が使われているのか、どんな味に仕立てたのか、料理に関する細かな説明は、真理子さんが丁寧にしてくださいます。
昨年7月にリニューアルしたばかりの店内には、カウンター席の他、テーブル席も用意。
窓の外には田園風景が広がっています。田植えが終わって稲が育ってくると、一段と美しい景色になるのでしょうね。
「ミシュランで星を頂いたことで県外のお客様も増えて、海外からのお客様も多くなりました。ですが、うちはそういったことを狙ってやっているわけではなくて、自然とそういう流れになったというだけです。
こういうお客様に来てほしいとか、そういったターゲットは設けていませんし、私たちの作る料理に興味を持っていただける方に気軽に来ていただきたいと考えています」と井上さん。
ちなみに、4月は山菜の季節。UOZENでは、井上さんが近隣の山で採った山菜を使った料理が、この時期だけのお楽しみとして毎年好評を得ています。
唯一無二の料理を支える、作り手の仕事
井上さんの料理に欠かせない存在なのが、妻の真理子さんが選ぶワイン。店内にはワインセラーが設置され、その中には数百種類ものワインが並んでいます!
取り扱うのはフランス産とイタリア産が中心ですが、国内から選りすぐったワイナリー、醸造家の一本も扱っています。
「酒屋やよい(弥彦ブリューイング)の羽生さんに、仕入れをお願いしているものもあります。羽生さんとの出会いは、私のお気に入りのワイナリーのワインを扱っていらっしゃることがきっかけでした」と真理子さん。
羽生さんは数年前に北海道の「農楽蔵(のらくら)」や新潟市の「カーブドッチ」の醸造家を招き、UOZENでワインのメーカーズディナーなどを企画したこともあり、以来、交流が続いているそうです。
また、バターや塩、味噌などの調味料から水、卵、さらにはカトラリーにおいても、新潟ならではの職人や作り手が手がけるものを積極的に使用。UOZENの唯一無二の料理は、作り手の個性と真摯な仕事ぶり、情熱までもが込められているのです。
その一つ一つに込められた職人たちの手仕事と、UOZENの滋味深き料理の数々。ぜひたっぷりと時間をかけて、楽しんでみてはいかがでしょうか。
Restaurant UOZEN(レストラン ウオゼン)
店名 | Restaurant UOZEN(レストラン ウオゼン) |
---|---|
住所 | 三条市東大崎1-10-69-8 |
地図 | |
アクセス | JR東三条駅より車で5分 |
営業時間 | 入店時間 ランチ11:30 ~ 11:45(土、日、祝) ディナー18:00 ~ 18:15(水、木、金、土、日) |
定休日 | 月曜、火曜 |
電話番号 | 0256-38-4179 |
HP | https://uozen.jp/ |
SNS | Instagram: https://www.instagram.com/restaurant_uozen/ |
備考 | 【参考情報】 ・弥彦ブリューイング https://gozzo-line.com/kenoh/7842/ |
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おすすめポイント
2020年発行のミシュランガイド新潟で、二ツ星を獲得されたお店です。
オーナーの井上さんご夫妻とは、うちのお店にワインを買いに来てくださったことがご縁で交流が始まりました。
オーナーシェフである井上和洋さん、ソムリエの資格も持つ妻の真理子さんによる料理の数々は、他にない感性とセンスでいつも圧倒されます。
一品一品が特別であり、その時にしか食べることができないもので、自然や命の豊かさを感じるはずです。
合わせるなら間違いなくワイン。料理に合うワイン選びも真理子さんにお任せすれば、間違いありませんよ。