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着回しが利くシンプルデザイン ニットの街・五泉市で見つけた 心地いいニットアイテム。

着回しが利くシンプルデザインニットの街・五泉市で見つけた心地いいニットアイテム。

ごせんgosen
サイフク

斉藤 佳奈子 (さいとう かなこ)さんの自己紹介

五泉市のニットメーカー「サイフク」で、自社ブランドの「mino(みの)」「226(つつむ)」のブランディングを担当しています。小さい頃はよく工場にある糸倉庫を基地のようにして、弟や親戚の子たちと遊ぶのが好きでした。1963(昭和38)年に祖父母が「サイフク」を創業し、2代目を父、そして現社長を母が務めています。2代目まではOEM(Original Equipment Manufacturing:他社ブランドの製品を生産すること)が中心でしたが、父が他界した後、だんだんと長くなる閑散期に危機感を覚え、2012(平成24)年から自社ブランドの製造をスタートしています。私たちが提案するのは、長く愛用できる上質なニット製品。トレンドに流されることなく愛用いただけるアイテムを、自分たちで発注量を決めて生産し、毎シーズン新作を発表してきました。2カ月に一度、工場見学も行っています。五泉からニットのおもしろさをお届けします。

PROLOGUE

「五泉市といえば?」と聞かれたら、皆さん何を思い浮かべますか?

地酒大好きなごっつぉライターの私は、すぐさま「ケンカ酒!寒九の水くみ!」と思ってしまったわけですが、他にもいろいろありますよね。

チューリップに桜、ボタンにシャクヤク……
レンコン、里芋、やわ肌ねぎの「五泉3美人」も外せません。

それら全てに共通しているのは、清冽(せいれつ)な水から生まれること。

日本一の生産高を誇るニットもそうです。

豊かな水資源があったからこそ、「日本一のニット産地・五泉」としてその名を知らしめています。

五泉市には新潟から全国、世界へ製品を展開するニットファクトリーがたくさんあります。
その一つ、レディースアイテムを中心に、暮らしを彩るニットアイテムを手掛ける「サイフク」にお邪魔しました。

(自社ブランド「mino」から、羽織るタイプのポンチョ「tate」。)
(写真左、「mino」から羽織るタイプのストールポンチョ「nico」。右上、ポンチョケープ「maru」。右下、かぶるタイプのポンチョ「yoko」。)
(写真左から、「226」の洗える綿麻ストレッチTシャツ、ケーブル編みニット帽 アンゴラウール。)
(写真左から、「226」のスプレーカバー、アームウォーマー。)
(「226」のびるニットマルチケース。 ※全て斉藤さんご提供画像)

思わず手に取りたくなるかわいいアイテムばかり!
「ごっつぉLIFE」の記事が過去一番ファッショナブルな内容となりそうです(笑)。

五泉市で、毎日愛用したくなるかわいい名品探し、始めましょう!

INTERVIEW

進むべき道を教えてくれた、中川政七商店との出会い。

今回お会いしたのは、昭和中期からニット製品をつくり続けるニットメーカー・サイフク
常務取締役の斉藤佳奈子さん。

目まぐるしく変化し続けるアパレル業界を相手に、ハイクオリティーなニット製品をつくり続けてきました。

創業時から他社ブランドの製品を生産するOEM事業を続けてきましたが、2012(平成24)年からはそこに、自社ブランドの企画開発・生産も追加されています。

ブランドマネージャーとしてチームの先頭に立ち、次々とヒット商品を生み出す斉藤さん。
なぜ自社ブランドをつくることにしたのでしょうか?

「アパレル製品の生産が主に中国へシフトするようになり、2000年代初頭はファストファッションが大流行。
品質が自慢の五泉ニットは、低コストを売りとする中国に太刀打ちできなくなっていました。

より安いものを求める人が増えたように、時代が動いていく中で先々を見て、早めに種まきをしようと動き出したのが、設立50周年を目前に見据えるタイミングでスタートした自社ブランドの商品化です」

サイフクにとって自社ブランドの開発・生産は、いわば正攻法。
糸の仕入れや、製品化するまでの工程を長年続けてきた実績はあるものの
「企画と販売は分からないことだらけでした」と斉藤さんは言います。

一方、「世の中に物はあふれていて、良いものをつくりさえすれば売れるという時代じゃない」とも。

ブランドの認知度をどのようにつくったらいいのか分からずに悩んでいました。

「販路をきちんと確保してからブランドを組み立てたいと思っていた矢先、出会ったのが今もお取り引きが続いている、生活雑貨メーカー・中川政七商店さんです。

中川政七商店さんは生活雑貨の企画・製造・販売に加え、経営コンサルティングも手掛ける会社。

マーケティングの知識が何もなかったので、大手広告代理店など他の企業さんにもお話しを聞きに行きましたが、いろいろとやっていくうちに『中川政七商店さんとやっていくのがいいだろう』という決断に至りました」

全国に店舗を拡大する中川政七商店との出会いをきっかけに、今まで五泉ニットを知る由もなかった他県の人々にその品質を届けることに成功。

サイフクの商品は着実に全国へ浸透しています。

ネーミングもかわいい!「mino(みの)」と「226(つつむ)」。

斉藤さんが生み出した2つの自社ブランドは、インパクトのあるネーミングも特徴的です。

日本の伝統的な雨具である「蓑笠(みのかさ)」から着想を得た「mino」は、シンプルな形の中に一つ一つ異なるシルエット感があります。

(ケーブル柄がおしゃれな「yoko」。 ※斉藤さんご提供画像)
(ポンチョケープの「maru」。 ※斉藤さんご提供画像)

前開きタイプでアレンジ自在。縦にスリットが入っている「羽織るポンチョ/tate(たて)」
正方形のニット地に中央から横方向にスリットが入った「かぶるポンチョ/yoko(よこ)」
丸いラインがふんわりと広がる「ポンチョケープ/maru(まる)」
両端に2個のスリットが入る「袖を通せるストールポンチョ/nico(にこ)」
などなど、ニット地の形やスリットの向きによって名前が付けられています。

「雪国・新潟をイメージして開発したのがminoです。
蓑笠は現代で言うポンチョと捉え、着回しが利くニットポンチョを開発しました。

夏には夏の、冬には冬の適した糸を使って新作を発表しています。
この夏の一押しは、麻を使用した涼やかなストールポンチョです」

(夏の一番人気アイテム「nico」ストールポンチョ。※斉藤さんご提供画像)

「色柄豊富で、羽織ってみたり、首に巻いたりとさまざまなシーンで使えます。
涼やかな透けるボーダーが一番人気ですよ」

2019(平成31)年には、体だけでなく生活雑貨やインテリアまで包んでしまうユーモアあふれる商品ラインナップが魅力的な「226(つつむ)」を始動。

minoとは少し違った視点で商品を展開しているようです。

「シンプルな上質さにこだわったminoだけでは、編み地や糸など、ニットのおもしろさを伝えきれないという課題がありました。

『つつむ』がコンセプトの226なら、表現は自由自在。
からだをつつむ、かおをつつむ、かたをつつむ……何でも包みますよ(笑)」

コンセプトが全く異なるminoと226。
一番のヒット商品が気になります……!

(「おなかをつつむ」見せるハラマキ オーガニックコットン。 ※斉藤さんご提供画像)

「一番売り上げがいいのは、『おなかをつつむ』シリーズの見せるハラマキ。

普通の腹巻きではなく、ニットメーカーらしく、編み機の特徴を生かしてつくりました。
重ね着風におしゃれに見せるハラマキです。妊婦さんでも安心して着用いただけます。

最近のアイテムでは、『おなかをつつむ』のロングスカートもなかなか好評ですよ」

(「おなかをつつむ」のびるニットロングスカート ポケット付き。 ※斉藤さんご提供画像)

腹巻きとスカートがくっついた、体想いのスカート。
綿ポリエステルの糸を使用した軽快な素材感で、季節を問わず、一年中愛用できます。

「カラー展開は今のところネイビーだけ。2023年秋冬に新色のグレーを出す予定です。
ホールガーメントという特殊な機械で編むことで縫い代がなく、形がきれい。
快適な着心地を実感いただけますよ。

シーズンごとに登場する新作にも注目です」

EPILOGUE

商品開発・工場見学・新規事業で、ニットのおもしろさを伝えたい。

「ニットを編む」と言っても、その工程はたくさんあります。

サイフクでは、編み地データの作成、裁断、縫製、仕上げなど、それぞれの作業を間近で見られて、ニットスヌードまたはアームカバーのお土産がもらえる工場見学を2カ月に一度開催しています。

ごっつぉLIFE編集部も工場内を見学してきました!

実際の工場見学では最初に説明を受けた後、工場全体を回りながらニットができるまでを見学できます。

「1着をつくるのに、これだけの作業が必要なのか……!」と驚きつつ、各部門の職人さんたちの鮮やかな技術にすっかり魅了されました。
「ここまで見せちゃうの!?」という感動も味わえますよ。

次回開催は2023年7月29日(土)10:00から。
企画の詳細は、公式サイト(記事最後にリンクあり)からご確認ください。

斬新なアイデアで多彩な企画をつくり出す斉藤さん。
今後はどのようなビジョンを描いているのでしょうか?

「ニット工場の近くに、実際に手に取って見ていただけるショップを開きたいと考えています。
レストランで食事もできる複合の施設にしていく予定です。

ニットは、糸の種類が多種多様にあり、同じ編み地でも糸を変えるだけで雰囲気がガラリと変わります。

ニットのおもしろさと魅力を、商品開発や工場見学を通して
これからも皆さんにお伝えしていきたいです」

NEXT EPISODES

もちもちベーグルが大人気!五泉市の小さなベーグル屋さん

最後に、五泉市の魅力的な人をおふたりご紹介いただきました。

1人目は、五泉市役所の近くで営業する小さなベーグル屋さん「Re Ri Bagel(リリベーグル)」の武藤さんご夫妻。

こちらで販売されているベーグルが斉藤さんは大好きなのだとか!

「以前、5 SEASONS kitchenが五泉ニットフェスの会場になった時、販売店としてリリベーグルさんにご協力をいただきました。

あの大きくてもちもちの食感は、ぜひ皆さんにも召し上がっていただきたいです。
いちお客さんとして、いつもお世話になっています」

元気をもらえる婦人服のお店

2人目は、創業1841(天保12)年から五泉市本町で愛されている衣料品店・やまちょうの阪井明子さん。

「五泉市内ではラポルテ五泉、五泉ニット工業協同組合が運営する複合施設LOOP&LOOPのほか、やまちょうさんでも、サイフクの商品をご購入いただけます。

やまちょうの阪井さんはいつも明るくておもしろい方。
いろいろな活動をされているので、『すごいなぁ』と尊敬しています」

五泉市を訪れたらぜひ立ち寄っていただきたい2つのお店。
お邪魔できるのが楽しみです。

斉藤さん、ニット製品への熱い想いを教えていただき
ありがとうございましたー!

(※斉藤さんご提供画像)

斉藤さんの特別なこと
日本一のニットの街で
レディースアイテムを中心に
なんでも包んじゃう
ちょっと変わったアイテムも
手掛けるニットメーカー。
暮らしの定番に、新潟土産としても
ぜひたくさんの方に愛用していただきたい
ニットの魅力をお腹いっぱい頂きました!
ごっつぉさまでしたー!!

斉藤さんの#マイごっつぉ

毎日見ている、土手からの景色

サイフク常務取締役の斉藤さんにとって特別なこと「マイごっつぉ」は、五泉市の自然美。実は、商品カタログに掲載されている自然の写真は斉藤さん自ら撮影されたものがたくさん起用されているそうです。「結婚してから新潟市で暮らすようになり、土手を通って五泉市に入るのですが、車から見える景色が壮大で。毎日の通勤時間が結構好きだったりします。季節によって表情を変えますが、天気や雲の色によっても全然見え方が違っていて。ちょうど帰りどきに夕焼けがきれいなプライムタイムにあたると、赤と紫がグラデーションになるのがとてもきれいです。そして、四季の移ろいがまたとてもいい。写真は、田植えが終わった直後の菅名岳を望む景色。なかなか運転中は撮影できないので『車載カメラで撮れないかしら』といつも思っちゃいます(笑)」。ちょっとお茶目な斉藤さんにキュンとしました!水鏡に山々が反射する、風情ある一枚。斉藤さん、ありがとうございました!

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サイフク

店名サイフク
住所五泉市寺沢1-6-37
地図
アクセス JR五泉駅から車で1分、徒歩5分。
電話番号0250-43-3129
HPサイト:https://shop.saifuku-knit.jp/
サイフク工場見学:https://shop.saifuku-knit.jp/?mode=f12
SNSインスタグラム:https://www.instagram.com/saifuku_mino_226/
備考【参考情報】
・中川政七商店 新潟ビルボードプレイス店
HP:https://www.bandai-bp.com/shop/290

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