坂井 文 (さかい あや)さんの自己紹介
旧水原町出身です。忘れもしない中学2年の時、氷川きよしさんが華々しくデビューされ、その影響から演歌歌手を目指しました。しかし、挫折もたくさんあるもので……。夢を諦め、23歳で結婚、24歳で出産。育児を通して食の大切さに気付き、食に関わる仕事をやってみたいと考えるようになりました。農産物直売所「わくわくファーム」(新潟市北区)にある焼き芋店のオープニングスタッフになり、その後、「パルシステム新潟ときめき」に転職。「NPO法人食農ネットささかみ」で企画営業を担当したこともあります。生産者さんと触れ合う中で食への興味が増し、地域資源の魅力を自分の手で発信していこうと2022年「道の駅あがの」駅長に就任しました。
PROLOGUE
新潟方面から国道49号線を進むと見えてくる大きな建物。
皆さんはもう、行きましたか?
阿賀野市初の道の駅として、
2022年8月にオープン(開駅)した話題のおでかけスポット。
実は、ごっつぉライターの私も日常的に愛用しています。
というのも、新潟県産のおいしいもの
かわいいものがたくさんありますし、
屋内外に遊具があり、とにかく子連れに優しい!
そんな居心地のいい施設を
同世代の女性が運営していると聞いて驚きました。
30代で大役に抜擢された駅長の坂井さんに会うため
「道の駅あがの」へお邪魔しました。
阿賀野の魅力を凝縮した6つのエリアに注目!
店内に入ると、阿賀野市の「いいね!」をたくさん見つけました。
見どころは、店内6つのエリアです。
左:農産品や加工品、工芸品も多数並ぶ「あがの市場」。地域の特徴を描いた壁のイラストがかわいい。※坂井さんご提供画像
右:フードコートの「食の広場」は平日でもお客さんでいっぱい。阿賀野市の食材を使ったオリジナルメニューはここでしか味わえません!※料理写真は坂井さんご提供画像
左:新潟県酪農発祥の地・阿賀野市らしい、新鮮な地元の生乳を使った濃厚ソフトクリームがおいしい「あがの酪農カフェ」。
右:阿賀野市特産の「あがの姫牛」と国産豚、阿賀野市産コシヒカリを使ったオリジナルのメンチカツ「オコメンチ」を販売する、週末のみ営業の「あがのおいしい調理室」もあります。※坂井さんご提供画像
道の駅に併設されるのは全国初という、安心安全な食材を提案してくれる「パルシステム」。
子ども連れのパパ&ママ、おじいちゃん&おばあちゃんも、“阿賀野市を象徴するもの”が描かれたキッズルームと屋外広場は必見です。
左:五頭山をハイキングするように楽しめるキッズルーム。※坂井さんご提供画像
右:屋外広場には酪農と白鳥をモチーフにした遊具。「MILK LAND」の方が小さい子向けの遊具になっています。
INTERVIEW
子育てで気づいた“食の大切さ”を商品から発信
坂井さんが道の駅の駅長を目指したきっかけは、
子育て経験と、前職でのいろいろな人との出会いにありました。
「食に関わる仕事に興味を持ったのは出産後です。
離乳食の重要性から食事自体を見直すようになり、
そこから食に関わる仕事をやってみたいという思考に切り替わりました」
地元農産物を扱う仕事に就くと、地元生産者さんと関わる機会が激増。
直接会って話を聞くうちに、世の中で販売されている商品には
“作り手の想いが宿る商品がある”ということを実感されたそうです。
「商品選びの基準は、作り手の想いを強く感じたもの。
阿賀野市のものを中心に、市外の県産品、県外のものでも、
ご縁があれば取り扱っています」
「最近のものだと、節分に合わせて仕入れた千葉県産の有機栽培の落花生・Qナッツが正にそう。
あまりのおいしさに、今では定番商品となりました」
「7月からは沖縄県産のバタフライピー(アントシアニンを豊富に含む青いハーブ)を使用した、着色料不使用のブルーハワイシロップでかき氷も販売します。」
自身の子育てから得た知識を活かし
地産地消に特化した、人々の『おいしい』に寄り添う食事を提案する坂井さん。
我が子にかける愛情を、そのまま訪れたお客さんたちに注いでいるような
お話を聞いていて気持ちがほっこりしました。
坂井さんのところに行けば
「子どもにも安心して食べさせられるものがある!」
と、思えるはずです。
地域愛たっぷりのラインナップとオリジナル商品
道の駅で販売される地元商品の割合は、
「頑張っても全体の半分」というのが一般的のようですが
道の駅あがのでは売り場のおよそ7割が阿賀野市の商品。
中には阿賀野市の特産品から作られたオリジナル商品もあります。
現在、店頭に並んでいるオリジナル商品は
おせんべい、きなこ、トマトソース。
おせんべいは「醤油せんべい」と「おこげせん」の2種類。
トマトソースは「あがのおいしい調理室」で
スタッフの皆さんが手作りしたものなんですって。
こだわりがすごいですよね……!
パッケージデザインの良さもあり、
ついつい手に取りたくなる魅力があります。
「道の駅あがののロゴマークを手がけているのは
新潟をよく知っているhickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)の迫一成さん。
壁の大きなイラストや商品パッケージのデザインを手がけたのは
石川県出身のデザイナー、田中聡美さんです。
ふたりのデザイナーさんの視点から
“おいしい”、“あったかい”、“あがのらしさ”、“ローカル”をデザインで表現していただきました」と坂井さん。
阿賀野市の地域柄を一つ一つ描いた大きなイラストも
ぜひ足を止めて見てみてください。
どこを切り取っても、あふれんばかりの地域愛が感じられます。
2023年秋からは、阿賀野市観光がもっと楽しくなる
「あがの駅からカード」の配布も始まるそうです。
阿賀野市は、お米やしょう油、
クラフトビールといった特産品も豊富ですし、
五頭山に温泉、やすだ瓦ロードなど、体験型観光コンテンツも多彩。
お土産を購入するのにも、観光情報を探すのにも、
道の駅あがのは最適です。
良品を見つけたら直談判!県外のおいしいものも充実
道の駅あがので販売されている商品の7割は地元のもの。
残る3割は、同じ想いを持って営業している他の道の駅や
県内外、海外の生産者さんから直接仕入れた坂井さん選りすぐりの逸品です。
「『つながる産地直送』をモットーに
提携道の駅と提携産地からも商品を仕入れています。
提携している道の駅は、『道の駅四万十とおわ(高知県)』
『道の駅お茶の京都みなみやましろ村(京都府)』。
あとは、お隣阿賀町の『道の駅阿賀の里』です。
直接生産者さんとつながることを大事にしています」
坂井さんと初めてお会いした時、
「華奢で柔らかい雰囲気の女性だなぁ」と思いましたが
実際はちょっと違いました。
人一倍、地元愛が強く
駅長として商品選びに妥協をしない。
芯の強い、かっこいい女性でした。
そんな坂井さんには、徹底されたマイルールがあります。
「普段からインターネットを遮断するようにしています。
インターネットはとても便利ですが
見たことのないものをあたかも見たことがあるように錯覚させ
感性を鈍らせてしまうと感じていて。
だから、『こんな商品を置きたいな』と思ったら
出会ったいろいろな人たちに相談することが多いです。
あとは、実際に産地や県内外のお店に行くようにしています。
周囲に流されることなく、物事を決めていきたいです。
実際はたくさんの意見を目の前に
いつもてんやわんやしているんですけどね(笑)」
EPILOGUE
食事、遊びの要素も充実。進化が止まらない!
オープンから約1年。
食堂も完成し、食事メニューも充実したことで
休日平日問わず多くの人で賑わう道の駅あがの。
それでも、坂井さんは
「まだまだ完成していない」と言います。
「道の駅あがのは『完成がない道の駅』。
常に進化し、変わっていきます。
商品ラインナップも、店内装飾も、
まだまだやりたいことばかりです。
地域の皆さんに『暮らしが豊かになった』
と思っていただけるような存在になることが目標。
買い物をする、食事をしに行く、遊びに行く……
どんな目的でも大歓迎です。
道の駅あがので、阿賀野市の魅力を楽しんでください!」
NEXT EPISODES
江戸時代からの歴史を持つ「安田瓦」のキーマン
最後に、阿賀野市の魅力的な人をおふたりご紹介いただきました。
1人目は、2023年春
アニメのオープニングに起用されたことでも話題となった
安田瓦のバス停が目印の丸三安田瓦工業株式会社、遠藤俊さん。
「遠藤さんがブランディングされている商品は当店でも販売しています。
工芸品のつくり手として、本当にすばらしい方です。
食卓を上質にしてくれる食器、かわいいインテリアも
ぜひ手に取ってみてください」
気持ち華やぐエディブルフラワーの生産者
2人目は、エディブルフラワーを栽培している
株式会社脇坂園芸の脇坂裕一さん。
「私に『道の駅に携わった方がいいんじゃない?』と
最初に薦めてくれたのが脇坂さんでした。
初めてお会いした時から、いつでも温かい対応をしてくれるので元気をもらっています。
全国、世界に誇れる“美しい食べられる花”を
皆さんにもお楽しみいただきたいです」。
2つの会社が展開する商品は
阿賀野市土産としても人気のようです。
どんな商品と出合えるのか、お楽しみに!
坂井さん、阿賀野市へ行きたくなるすてきな情報の数々
ありがとうございましたー!