本間 純平 (ほんま じゅんぺい)さんの自己紹介
高校生の頃から大手焼肉店で働き始めました。「新潟で店長をやらないか?」とお誘いをいただいて、19歳の時に新潟市へ。東京勤務をはじめ、県内外の店舗を経験させてもらいました。その後、新潟を代表する飲食店グループを経て独立。近年では、実家の畑で採れた柿をメインに使ったフルーツサンド店「Fruits Waker(フルーツウェイカー)」を2019年に開店(現在は閉業)。その後、2021年「農家の息子がつくるジェラートの店 ハナタバ」、2022年「農家の息子がつくる食堂 さんかくとまる」をオープン。居酒屋甲子園の7代目理事長を務めた株式会社Elevation(新潟市)山崎聡代表からいただいた「業態開発は!天才」という言葉を糧に、日々仕事に向かっています。
「ピカリ産直市場 お冨さん」の冨山さん(ごっつぉLIFE新潟3-1参照)から「新潟のお米を食べるならココに行かなきゃ!」と教えていただいたのは、2022(令和4)年4月にオープンした「農家の息子がつくる食堂 さんかくとまる」。
万代シテイの新グルメスポット「BANDAI FOOD HALL」内で営業する魚沼産コシヒカリを使った贅沢なおむすびと具だくさんの味噌汁がおいしいお店です。
気になるおむすびは全部で30種類以上。
大きな具材がたっぷりと入った、のりで包まれている「ザ・クラシック」、
混ぜご飯や炊き込みご飯から作られる「さんまる」、
具とご飯が半々の「具ばっか」の3シリーズから
本間さんの気まぐれでその日のラインナップが決まるそうです。
訪れるたび、新しい味と出合えそう…!
イチオシは、手間を掛けてつくる「銀鮭」
さんかくとまるのおむすびは国内最高評価を誇る魚沼産コシヒカリを主役に、米のうまさに負けない主張を持つ具材やのりを使用しています。
さまざまな具材の中でも本間さんのおすすめは“銀鮭”のようです。
「脂ののった銀鮭を新潟の郷土料理『焼き漬け』にしてからほぐしています。
新潟らしさのあるおむすびを作りたくて銀鮭はその思いを一番込めた一品。
脇役であるのりにもぜひ注目してみてください。
使用する日を逆算して焼かれていて、これがまためちゃめちゃうまい。
のりから感じられるしっかりとした磯の香りがないとうちのおむすびは完成しません」
どのおむすびもこぼれ落ちそうなほど具がたっぷり!
手にした人の食欲をそそるビジュアルと香りをまずはお楽しみください。
万代で、あえて田舎っぽいことをすることに意味がある
「実家は佐渡の農家」という本間さん。
店名の頭に「農家の息子がつくる」と入っているので、ご両親がつくるお米を食べてほしいという想いからお店をオープンされたのだろうと思いきや、実際は違うようです。
「米を作っている友人から『どうにか今の状況を変えられないか』と相談されたのがこの店をオープンしたきっかけでした。
日本人の米離れが深刻化している今、新型コロナの影響で米農家さんたちはさらなる苦境に立たされています。
新潟は日本屈指の米どころなのに、米のおいしさをダイレクトに伝える専門店が少ないことにも違和感があって。
新潟の中でも都会な万代で、一番田舎っぽいことをするのが若い方からすると最先端に感じていただけるんじゃないかと考えたんです」
オープンからちょうど1年が経過した2023(令和5)年・春。
店には学生たちの姿もたくさん見受けられました。
さんかくとまるの大きなおむすびは10代の若者たちにも着実に浸透し始めています。
おいしい上に、おむすびを買うことが地元農家さんの支援にもなる。
地域循環型農業が当たり前にある環境こそ、“本来、新潟にあるべき姿!”と思わずにはいられませんでした。
本間さんの言葉の一つ一つは応援したくなるものばかりです。
おむすびに3つのこだわり
「さんかくとまるのおむすびには3つのこだわりがあります」と本間さん。
「企業秘密じゃないの!?」という情報まで分かりやすく教えてくれました。
こだわり1つ目は“精米後の時間と水分量”。
「精米後の米は水分量がどんどん飛んでしまう特徴があります。
そのため、米の重量に合わせてできる限り水分量が多い状態で炊き上げることが大切です。
米の状態に合わせ、米1に対して小数点0.00までしっかり計算しながら毎回水分量を調整しています」
食欲をそそるツヤと香り、ほどよい粘り気のある食感を生み出す秘訣はお米の水分量にありました。
こだわり2つ目は“洗い米”と呼ばれる研ぎ方。
米を研いだ後に浸水させ、干して米の表面を乾かすことを指します。
洗う、浸水、干すという工程を終えてから炊くことで、米のうま味と粒感が際立つ炊き上がりになるそうです。
「米ぬかをしっかり落として炊くと、香りが良くてうまい。
うちではいつもしっかりめにお米を研ぐようにしています」
人気シリーズのザ・クラシックは注文を受けてから握るだけでなく、炊き上がってから2時間以内の米しか使わないのがさんかくとまるのルール。
いつでも最高においしい状態で食べられるように、本間さんは努力を惜しみません。
「営業時間中はずっと米を炊き続けています。1日に7回以上は炊いていますね。
米の量に換算すると平日は30kg前後、週末になると50kg以上。
洗い米の工程も必ず行っているのでとても時間が掛かりますが、ご自宅で食べるご飯との違いを出すためにも妥協せず、こだわっています」
こだわり3つ目は“握り方”にあるようです。
さんかくとまるのおむすびの中でも「ザ・クラシック」はいかにふっくら握るかを追求しているといいます。
「シャリをふっくらと握る寿司職人さんのようにおむすびのご飯をふっくら握るのは至難の業です。
しかも、僕は手が大きいので普通に握ると200g近くになってしまう。
どのグラム数で握ると一番いいか何度も試して、『母が作るおにぎりの具材はこんなくらい入っていたな〜』と思いながら握ったらご飯160g、具40gでした。
そんな感じで出来上がったのがザ・クラシックです。
サイズでいうと、ご飯はコンビニおにぎりの2倍。具は5倍以上に相当します。
うちのスタッフなら全員同じ仕上がりで握れるように情報を共有していて、お客様にいつお越しいただいてもふっくらおいしいおむすびを召し上がっていただけるようにしています」
米穀市場の形勢逆転を狙う本間さん。
おもしろい持論も教えてくれました。
「口の中に3つの食感を入れて頬張ると人って大概のものはうまいと感じるんです。
フルーツサンドでも、ハンバーガーでも、口いっぱいに頬張るっていうのがどうやったってうまい。それはおむすびにも言えること。
米がうまい、具もうまい、のりもいいものを使っている。
おいしくない訳がないんです!
物理的にうまいと、心理的にうまいを凝縮した、自慢のおむすびです」
選べる3種類の味噌汁もおいしい
さんかくとまるは大きな丼で提供される味噌汁がおいしいことも忘れてはいけません。
実は、来店されるお客さんのほとんどが注文するという定食メニュー。
定食のセットとなる味噌汁はこれまで2種類から選ぶ方式でしたが、豚汁があまりにも人気で定番化されたばかり。
現在は大小サイズ違いのお味噌汁と豚汁の3種類から選べるようになりました。
斬新な発想でさまざまな飲食店をプロデュースしてきた本間さん。
今後の目標を聞いてみました。
「仕事をする上で心がけているのは、頼まれ事はどんなことでもやってみることです。
相手は『きっと純平ならできる』と思って依頼してくれているので、その気持ちに応えることが仕事だと思うんです。
僕にとって仕事は、儲けるためでも、会社を大きくするためのものでもなくて。
自分も成長できて、相手も喜んでくれたら、めっちゃ最高じゃないですか。
仕事ってそうあるべきだと思うんです」
本間さん、
新潟のお米がもっとおいしく楽しめる裏技、仕事に対する考え方も、心に響くものばかりでした。
新潟市を訪れる楽しみの一つに「おいしいおむすびを食べること」が浸透する日はそう遠くないはずです。
おむすびの新作も楽しみにしています。
本間さん、ありがとうございましたー!
お店の情報
農家の息子がつくる食堂 さんかくとまる
新潟市中央区万代1-3-30 万代シルバーホテル2F
営業時間:11:00〜20:00
定休日:1/1
Instagram:https://www.instagram.com/sankakutomaru_omusubi/
参考情報
・Atelier CHIANTI – JR新潟駅前にあるモダンイタリアンレストラン
Instagram:https://www.instagram.com/atelier.chianti/