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心和む空間・食事・体験 農家民宿「栃堀の風」で 阿賀町の暮らしに触れる旅。

心和む空間・食事・体験農家民宿「栃堀の風」で阿賀町の暮らしに触れる旅。

あがまちagamachi
栃堀の風

増川 宏実 (ますかわ ひろみ)さんの自己紹介

2016(平成28)年から3年間、阿賀町地域おこし協力隊として活動し、2020年2月に農家民宿「栃堀の風」をオープンしました。宿が立つ栃堀は、御神楽岳(みかぐらだけ)と人ケ谷(ひとがたに)に囲まれた、総人口40世帯ほどの小さな集落です。阿賀町の魅力を伝えるため、移住コーディネーターとしても活動しています。阿賀町で一番好きな食べ物は山菜!宿泊のお客さまには地元郷土料理を提供しているので、ぜひ味わってみてください。

PROLOGUE

阿賀町の奥座敷で、自分をリセット。

2005年に津川町・鹿瀬町・三川村・上川村の4町村が合併して誕生した阿賀町。
村上市、上越市に次ぐ、県内で3番目に総面積が大きい町です。
(新潟県「データでみる新潟県 ~指標ハンドブック~(令和5年度)」より)

福島県との県境に接する阿賀町上川地区は、山々に囲まれた自然あふれる地域。

(国道49号線を会津方面に進み、津川警察署前を右折。「西山日光寺」の看板からさらに山道を登っていきます。)

国道49号線から山間に入り、「どんな場所に到着するんだろう!?」というワクワク感を抱きながら山道を進みます。

この日は、ちょうど雪が降った直後。
森も田畑も真っ白に色づいていました。

(清流・常浪川(とこなみがわ)と並走。)
(地元特産品を販売する「かみかわ物産直売所」を通り過ぎます。)

到着したのは上川地区の栃堀。
集落の人々が集う「栃堀会館」横に、古民家を活かした農家民宿が営業しています。

「栃堀の風」と書かれた看板がありました。
心安らぐアロマの香りに誘われながら、しつらえがすてきなお部屋に入ります。

(12.5畳の居間は繊細な細工を施した建具が入っていました。 ※ご提供画像)

一日一組限定のこの宿では、全3部屋を自由に行き来できます。

(二間続きの寝室も、居間と同様に荘厳な雰囲気があります。 ※ご提供画像)

同じ上川地区には、2023年8月に取材した、打ちたてのそばと天然温泉が自慢の一軒宿「ブナの宿 小会瀬」も営業していますが、楽しみ方や過ごし方は、また趣向が違うようです。

自分をリセットするのに最適な空間が広がる栃堀の風。
どんなサービスを体験できるのでしょうか?

INTERVIEW

阿賀町の景色に感動し、移住を決意。

「雪の中お越しいただいて、ありがとうございます!」と優しく出迎えてくれたのは、栃堀の風のオーナー増川宏実さん。

新潟市中央区出身で、2016(平成28)年から阿賀町町民になったとのこと。
親族がいるわけでもないという阿賀町に、なぜ増川さんは移住されたのでしょうか?

(※ご提供画像)

「ずっと新潟に住んでいたのにも関わらず、それまで阿賀町へ遊びに行く機会はありませんでした。
たまたま阿賀町で暮らす知り合いができて、遊びに来た時は驚きの連続。
『なんてすごい場所なんだろう!』って。

スケールの大きな山と川が一緒にあって、景色がものすごくきれい。
その時にお邪魔したのは上川地区の御神楽温泉『みかぐら荘』でしたが、きれいな自然に心が解放されました。

その経験から、阿賀町が大好きになって。
頻繁に遊びに来るようになったんです」

阿賀町へ移住する前は新潟市の食品卸売業社で新卒からずっと働いていた増川さん。
会社員の頃から心と体の健康と癒やしに興味を持ち、勉強を始めたといいます。

自分自身の健康維持を考えるようになると、良質な食事、良質な過ごし方にこだわるようになったそうです。

リラクゼーションを大切にするなかで始めた「アロマお茶会」は、飲食店の一室を借りて開催するほど。
自ら開催した「アロマお茶会」で出会ったのが、阿賀町出身の女性でした。

初めて阿賀町を訪れた増川さんに彼女が案内してくれたのは、自然美あふれる阿賀町の名所の数々。

その時に得た感動が、これまで想像もしていなかった〈移住という選択肢〉につながっていきます。

「阿賀町の自然豊かな環境が気に入り過ぎて、『こんなところで働けたら幸せだなあ』って呟いていたんです。

そうしたら、友人が『え、阿賀町で暮らしたいの?』と反応してくれて。
阿賀町には移住をしながら起業準備を進められる地域おこし協力隊の制度があることを教えてもらい、すぐに応募しました」

(阿賀町地域おこし協力隊として活動していた2017(平成29)年。理想の空き家を見つけて喜ぶ増川さん。 ※ご提供画像)

移住した直後は津川地区のアパートで暮らしながら空き家を探す日々。
自治体の空き家物件情報をのぞいても出合いに恵まれず、途方に暮れていた時、偶然にも集落の人から紹介されたのが、処分されそうになっていたこの古民家でした。

以降、増川さんの阿賀町生活は一気に進展します。

「昔から古民家、自然が大好きで、そんな環境のなかで人の集まる場所をつくりたい、心と体の癒やしと健康につながる活動をしたいと思っていました。

健康に直結するものといえば〈食事〉。
地元のお母さんたちが郷土料理のつくり方を教えてくれる阿賀町の『新風上川とんぼの会』に参加して、雪国の食の知恵を教えていただきました。
その経験を活かして、宿の料理は全て手作りしています。

阿賀町に住んでいると、『山から取ってきたものってこんなにおいしいんだ!』って、感動しますよ。

宿でもよく提供している山菜のアザミの炒め煮は、春に取って塩漬けしたものを使うため、通年提供できる阿賀町の保存食。

ちょうどいい塩加減で、ご飯のお供に、お酒のつまみにも最適です。
古くから伝わる阿賀町の郷土料理を、多くの方に食べていただきたいです」

移住者ならではの視点で、阿賀町の魅力を凝縮したオリジナルのおもてなし。

増川さんの人生を180度変えた美景と郷土料理は、県外の方だけでなく、新潟で暮らす皆さんにも知ってほしいものばかりです。

阿賀町には「現代人が忘れかけている日本の美しさ」がある。

理想の古民家での移住生活を始めた増川さんが最初にスタートしたのは、県外の学生たちに農山村の暮らしを体験してもらう「奥阿賀体験教育旅行」。

阿賀町観光協会が窓口になって行う体験教育旅行の受入民家の一つとして、栃堀の風を登録します。

(田植え、稲刈りなど、時期に合わせた稲作体験ができる「田んぼの作業体験」。 ※ご提供画像)

田舎の暮らしを知らない中高生が数日間泊まりがけで阿賀町にやってくる希少な機会。

栃堀の風では、定員7名の部屋いっぱいに学生が泊まり、普段の暮らしにはない田植えや畑作業、川遊びを楽しんでいきます。

「阿賀町の暮らしを体験した子どもたちは、来た時と比べてすごく生き生きとした表情で帰っていきます。

星を見て目を輝かせたり、『ご飯がおいしい!』と喜んでくれたり。

『こういう時間って、大人にも必要なんじゃないかな』と考えるようになり、体験施設というだけでなく、農家民宿として2020年に開業しました。

それ以降、学生だけでなく大人も泊まれる施設になったんです」

2020年2月に農家民宿として開業した直後、新型コロナウイルスの流行によって宿泊客が激減。
民宿を続けていくために増川さんが始めたのは、宿を会場に行うワークショップでした。

リラクゼーションに興味があったことから、ストーンや水晶を球体に編み上げるフラーレン製作の資格を取得。

宿泊目的でなくとも、栃堀を舞台に体験活動を楽しめるように試行錯誤を続けてきました。

民宿営業と多彩なワークショップの開催。
方向性を変えていくうちに、ある心境の変化が増川さんの中では起きていました。

「私が『今を楽しもう』と考えるようになったきっかけは、東日本大震災かもしれません。

人生は、いつ何が起きるか分からない。
だからこそ、自分の好きなことを追求していこうと発想を変換するようになりました。

好きなことを追求するために始めた地域おこし協力隊の活動でしたが、実際に始めてみると『ここでどうやって定住しよう』と生きる方法を模索することで精一杯になっていたように感じます。

新型コロナの影響で宿泊業を一旦止めることになって、改めて、『自分の好きなことをやろう』と決心しました。

宿泊を受け入れるけど、半分はワークショップ開催に場所をあてる。
宿泊業をおざなりにしたくないから、ワークショップは定期開催ではなく、相談があれば開催するようにしています。

集落の方、地域おこし協力隊の方からも協力をいただきながら、少しずつ宿に来たお客さまが楽しめることを増やしてきました。

私が移住を決意するほど感動した美しい阿賀町で、心が満たされる体験をこれからも提供していきたいです」

EPILOGUE

海外の人にも響く、魅力溢れる阿賀町。

栃堀の風で提供される料理のこだわりは、地元食材を使うことだけに限りません。

増川さんによって選抜された、〈体が喜ぶ調味料〉を使い、〈会津塗の食器〉で提供する。
江戸時代まで会津藩であった阿賀町の歴史を感じながら味わえる、体に優しい料理が自慢です。

(会津塗のお膳でもてなす夕食は、阿賀町の郷土料理が中心。 ※ご提供画像)

「自分自身の健康を気遣うようになった時に見直したのが調味料でした。
お客さまが召し上がる料理にも、地元のものというだけでなく、添加物不使用の調味料で調理するように心がけています。

例えば、精製された塩ではなく、ミネラルがしっかりと入っている古来の製法でつくられた塩を。

味噌にしてもそう。
アルコールを添加して発酵を抑えたものではなく、阿賀町津川の『山﨑糀屋』さんのように、大豆と塩でつくられる昔ながらの味噌。

食べた時のおいしさも、全く違います。

栃堀の風は心と体の健康をテーマにした宿。
そんなところにも、注目していただけたらうれしいです」

現在は、栃堀の風を運営しながら、移住希望者へ情報を提供する移住コーディネーターとしても活躍。

その他にも、健康と癒やしに特化したサービスを展開する増川さんの強みを活かし、健康のために森に入り、新しい森の楽しみ方を提案する「阿賀町自然セラピーの会」の立ち上げや、上川地区の特産品が販売される「かみかわ物産直売所」と、津川地区にあるブックカフェ&コワーキングスペース「風舟(かざふね)」の理事を担当するなど、多岐に渡って活動されていることに驚きました。

阿賀町で新しく始まったモノ・コト、昔から変わらない町の魅力を維持していくための活動に、増川さんは引っ張りだこです。

「自然のパワー、町民なら誰でもお得に地元の温泉に入れる『町民湯めぐりカード』のことなど、移住経験者の私が感じる阿賀町の良さを移住コーディネーターとしてご紹介しています。

地域おこし協力隊の頃から、困っている人がいたらサポートをして、自分がやろうと決めたことは必ず協力してきました。

まだまだやりたいことばかりですが、焦らず、少しずつ形にしていきたいです」

2023年の秋には、初めて海外からの観光客が栃堀の風を利用されたそう。
「ものすごく緊張したけれど、それ以上にいい経験をさせていただきました!」と、お客さんとの思い出も教えてくれました。

「台湾からご夫婦で来てくださったお客さんとは、Googleの翻訳機能を使いながらのやり取りでした。

湯沢と佐渡に行ってから阿賀町に来てくれたそうなんですが、とても親日家な方々で。
津川の商店街を歩いたり、麒麟山を登ったりしたと楽しそうに教えてくれました。

食事もとても喜んでくれて、海外の方にも阿賀町の美しさは響くんだって、自信につながりました」

多角的に阿賀町の魅力を提供する栃堀の風。
身近な秘境で体験できる極上の癒やしは、季節ごとに違う魅力がありそうです。

増川さんとのおしゃべりも、盛り上がること間違いありません!

増川さんの特別なこと
阿賀町の自然の中で
心と体を癒やしてくれる
空間・食事・体験

人々を惹きつける魅力がたっぷりありました。
ごっつぉさまでしたー!!

増川さんの#マイごっつぉ

芦沢高原ハーバルパーク

栃堀の風の増川さんにとって特別なこと「マイごっつぉ」は、阿賀町の中で一番好きな場所という「芦沢高原ハーバルパーク」。いただいたお写真は、春に見頃を迎えるアネモネと菜の花が咲いた時季に撮影されたものです。「開放的な景色、癒やされますよね。山々をパノラマで眺めながら、ゆったりとした時間を過ごせます。普段からジェラートを食べたり、コーヒーを飲んだりして過ごす特別な場所です。奥阿賀体験教育旅行の生徒さんが来た時には、ハーバルパークでお弁当を食ベながら、みんなで幸せを感じています」。豊かな自然が織りなす景観を入園料無料で楽しめるのも「阿賀町らしい」と増川さん。「町民も、町外の人も、無料で自由にくつろげるってすごいですよね。阿賀町の豊かさを象徴していると思います」。町のおおらかさが伝わってくる特別な場所。教えていただき、ありがとうございました!

芦沢高原ハーバルパーク

栃堀の風の増川さんにとって特別なこと「マイごっつぉ」は、阿賀町の中で一番好きな場所という「芦沢高原ハーバルパーク」。いただいたお写真は、春に見頃を迎えるアネモネと菜の花が咲いた時季に撮影されたものです。「開放的な景色、癒やされますよね。山々をパノラマで眺めながら、ゆったりとした時間を過ごせます。普段からジェラートを食べたり、コーヒーを飲んだりして過ごす特別な場所です。奥阿賀体験教育旅行の生徒さんが来た時には、ハーバルパークでお弁当を食ベながら、みんなで幸せを感じています」。豊かな自然が織りなす景観を入園料無料で楽しめるのも「阿賀町らしい」と増川さん。「町民も、町外の人も、無料で自由にくつろげるってすごいですよね。阿賀町の豊かさを象徴していると思います」。町のおおらかさが伝わってくる特別な場所。教えていただき、ありがとうございました!

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栃堀の風(とちぼりのかぜ)

店名栃堀の風(とちぼりのかぜ)
住所東蒲原郡阿賀町広谷甲700
地図
アクセスアクセス:磐越自動車道津川IC、JR津川駅から車で約20分。
営業時間10:00〜15:00
定休日なし
電話番号0254-92-7766‬(受付時間:9:00〜17:00)
HPhttps://tochibori-no-kaze.jp
備考宿泊料金:お一人さま一泊夕食・朝食付き8,800円(税込)〜、一泊朝食付き6,600円(税込)、素泊まり5,000円(税込)
時間:チェックイン15:00〜/チェックアウト10:00
※小学生以下のお子さまは、食事・寝具利用で上記70%、寝具のみの利用でお一人さま2,000円、寝具・お食事共にご利用なしで無料。

【参考情報】
・ブナの宿 小会瀬 - ブナの森に囲まれた一軒宿。
https://gozzo-line.com/agamachi/6284/

・風舟 - 本屋・カフェ・コワーキングスペースの複合施設。
https://gozzo-line.com/agamachi/6122/

・芦沢高原ハーバルパーク – 県内最大級のハーブ園。
https://niigata-kankou.or.jp/spot/9894
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