【キコリカフェ】会津の恵みがたっぷり！　自家製パンとスープを木のぬくもりとともに

「ごっつぉLIFEグルメ」では、各エリアでご登場いただいた皆さんから地元の熱愛グルメをご紹介いただきます。
今回はおぜしかプロジェクトの小山抄子さんからご紹介いただいた南会津町「きこりの店」内にある「キコリカフェ」さんです。

私がおすすめします！

会津

おぜしかプロジェクト

小山抄子さん

小山さんの記事はこちら

おすすめポイント

「キコリカフェ」さんは南会津に2024年にオープンした、まだ新しいお店です。カフェを手掛けた茶圓秀介（ちゃえんしゅうすけ）さんは、小さなお子さんを連れてご家族で移住されてきたと聞いて「どんなことをするのだろう？」と最初は驚きました。

実際お店に伺ってみるとすごく素敵で！いろいろな種類のパンやお菓子、そしてパンやスープを中心としたランチメニューもあって、どれもおいしいんですよ。

店内は、木の香りに包まれた空間で心地よく、まるで森の中にいるかのよう。のんびりと本を読んだり、お友達とおしゃべりするのも良いと思います。南会津には、ゆっくりとコーヒーを飲めるカフェがほとんどなかったので、近くにできてうれしいですね。

地元の方々だけでなく、観光客の方にも喜ばれると思いますよ。ぜひ、南会津を訪れた際は立ち寄ってみてください。

のどかな山の中に佇む、材木屋カフェ

尾瀬の玄関口である福島県檜枝岐村（ひのえまたむら）と南会津町を結ぶ国道352号線。スキー場や温泉、キャンプ場などがあり、観光客も多く利用する他、地域の方々の通勤通学など生活に欠かせない道路でもあります。

その国道を車で走っていくと、ひときわ広い駐車場と深緑色をした大きな三角屋根の建物が見えてきました。「きこりの店」と書かれた看板が目印。今回の目的地である「キコリカフェ」はこのお店の中にあります。

同店は、2022年に地域おこし協力隊として移住してきた茶圓秀介さんと、材木屋の株式会社オグラがタッグを組み「この地域内外から人が集える場所を作りたい」と立ち上げました。2024年6月のオープン以来少しずつファンを増やし、地元の方や観光客などに親しまれています。

国産広葉樹の家具や雑貨、小物を販売する「きこりの店」の奥へ進むと、「キコリカフェ」のカウンターが！　

木をふんだんにあしらったおしゃれなカウンターは、材木を乾燥させる時の桟積みをモチーフにしたのだとか。材木屋ならではのデザインが随所に施されています。

カフェでは自家製パンと季節野菜を使ったスープを中心に、ドリンクやスイーツなどを提供。内容は季節ごとに変わっていくので、訪れるたびに新たな味わいに出会えます。パンやケーキなどはテイクアウトで利用する方も多いそうです。

カウンターでオーダーをしてから、さらに扉の奥へ進むと……

木材倉庫の一角にカフェスペースが！　ふ～っと思わず深呼吸したくなるような、木の良い香りが漂います。きこりの山小屋をイメージした木の空間で、木のぬくもりを感じながらゆっくりと癒しのひとときを過ごすことができます。

さらに、奥には子どもだけが入れる小さな秘密基地が。南会津には子ども連れで遊びに行ける屋内施設が少ないとのことで、子連れで集える場所にしたいという思いが込められています。親は子どもを見守りながらゆっくりとお茶ができて、子どもは秘密基地で楽しく遊べて、親子ともどもうれしい空間ですね。

素材の旨味と季節の恵みを活かして

新潟からの長旅でお腹ペコペコなごっつぉLIFE編集部。3名でお伺いしたので、それぞれトーストとスープ、ドリンクをセットにしていただくことにしました。メニューは季節ごとに変わっていくので、現在は取材時のメニューを提供していません。一例としてご紹介します。

まずはこちら、「ベーコンエッグトースト」。平飼い有機卵の目玉焼きに、自家製ベーコンがたっぷり乗った、まさにシンプルイズザベストな一品。ベーコンを燻す際に使うのは、さまざまな広葉樹を扱う「きこりの店」から出たブレンドチップなんだそうです。

絶妙な半熟卵の黄身がとろ～り……あぁ、思い出しただけでヨダレが（笑）。

卵の味の濃さと自家製ベーコンの芳醇な深みが相まって、とても旨みが強いんです。使用している調味料は、塩コショウだけ。それなのに、こんなにもおいしさを感じるのは、一つひとつの素材のポテンシャルが高いからでしょうか!?

そして茶圓さんの奥さまが作っているという食パンも美味。口溶けがよく、小麦の味わいがフワッと香りました。

続いては、「ピザトースト」。トマトソースには、農家さんから仕入れた地物のトマトをたっぷりと使っているそうです。標高が高い南会津町では、昼夜の気温差が大きい気候風土と澄んだ空気や水の恩恵を受けて、甘くみずみずしいトマトが育つのだとか。

そうそう、ここに来るまでの道中に、「トマト直売所」と書かれたのぼり旗をたくさん見かけました！「南会津町といえばトマト」というぐらい、地域の特産品になっています。

自家製トマトソースに季節の野菜やきのこ、自家製ベーコンがたっぷり。「あぁ、長旅だったけどここまで来てよかったなぁ」としみじみ感じるおいしさでした。

最後は「オグラトースト」。メニューには“オグラのオグラトースト”と書かれていましたが、株式会社オグラと小倉をかけて遊び心でできたメニューなんだそうです（笑）。

自家製の小倉あんはほどよい甘さ。そしてバターは「よつ葉バター」を。もうこれは説明不要でしょう。たっぷりの小倉あんにバターが溶けて……あぁ、幸せ。

そして、ごっつぉLIFE編集部の全員がオーダーした季節のスープ。この日は、鶏肉ときのこの豆乳スープでした。地元のお豆腐屋さんの豆乳ときのこがたっぷり使われていて、濃厚でクリーミー、かつ優し～い味わい。

3種類のトーストとスープは、どれも素材の持ち味を引き出した、シンプルで贅沢なおいしさでした。木のぬくもりあふれる空間でホッと心を落ち着かせていただくからこそ、より一層おいしさが体に染み渡るのかもしれません。

季節が変わり、現在はまた新たなメニューを提供されています。おいしさへのこだわりは変わりませんので、ぜひInstagramをご確認くださいね！

未開発こそ魅力、ここからはじまる物語

同店を手掛けた茶圓さんは、元々、東京の大手建設会社で都市開発に携わるサラリーマン。「開発し尽くされた東京ではなく、全く開発されていない地方でやってみたい」との思いがあり、家族旅行で南会津に訪れたことが転機になったそうです。

「南会津町に初めて来た時、この豊かな自然に感動しました。ここが何色にも染まっていない未開の地のように感じたんです。そんな南会津に仕事を作りたいと思い、家族で移住を決意しました」と茶圓さんは話します。

2022年の移住初年度は地域おこし協力隊として活動し、翌年に「かそならできるを考える」をコンセプトに、過疎地域の強みを活かした経営サポートや企画運営を行う「かそプランニング」を設立。その後、株式会社オグラの小椋敏光社長と出会い、共に事業を行うことに。

「キコリカフェ」の前に立ち上げた一棟貸し宿の「キコリハウス」は、観光客だけでなく、会津に移住する人たちのきっかけになればと、会津暮らしが体験できる拠点として作られたもの。こちらも「きこりの店」と同じ敷地内に建てられています。

「南会津に仕事がないから、お年寄りしかいないからと住むことを諦めるのではなく、“住みたい場所に住める”という選択肢を作りたいんです。そのために、この地域で長く続く仕事を作ることが大事だと思っています。移住して3年、まだまだこれからです」とまっすぐな眼差しで語っていただきました。

「キコリカフェ」は地域の人の憩いの場であり、観光客が南会津の魅力と出会う場所。そして、新たな何かが始まる場所かもしれません。

茶圓さん、ありがとうございました。ごちそうさまでしたー！