「ごっつぉ LIFE グルメ」では、各エリアでご登場いただいた皆さんから地元の熱愛グルメをご紹介いただきます。
今回は、佐渡市でゲストハウス「UZU佐渡」を運営する河口晶さんからご紹介いただいた、赤泊にある「カニ直売所 弥吉丸(やきちまる)」さんです。
私がおすすめします!

赤泊で半世紀。佐渡の海とともに歩んできたカニの直売所
佐渡島南部に位置する港町・赤泊。赤泊港は、江戸時代に佐渡奉行が島へ渡る際に利用され、金山の繁栄にともない、多くの人や物が行き交う港として栄えた歴史のある港です。

河口さんが教えてくれた「カニ直売所 弥吉丸」は、両津港から車で約60分、小木港からは車で約20分の場所にあります。迎えてくれたのは、店の主任を務める高橋律子さん。カニの選び方から加工場の仕事まで、たっぷり教えていただきました。
店に入ってすぐの冷蔵ケースには、真っ赤な紅ズワイガニがずらり!「カニの直売所」というだけあって、やはりカニに特化したお店なんですね。

「昔はイカやエビも獲っていましたが、今、自社で船を出しているのはカニ船だけです」と高橋さん。「弥吉丸」では、現社長の父の代にエビかご漁を始め、その後はイカ釣り漁も手がけるようになりました。
紅ズワイガニのかご漁を始めたのは、約半世紀前のことです。ちなみに「かご漁」とは、餌を入れた籠(かご)を海底に沈めて、籠の中に魚介類を誘い込んで引き上げる伝統的な漁法のこと。初めの頃は、まだ紅ズワイガニが広く知られておらず、販売に苦労した時代もあったといいます。カニの身を取り出しやすくする加工技術の向上、佐渡観光の盛り上がりによって、次第に需要が伸びてきました。

さて、現在の「弥吉丸」の一番の強みは、漁から加工、販売までをすべて自社で担っていること。「弥吉丸」では、佐渡沖の複数の漁場を順に回り、餌を入れた籠を海中に仕掛けて紅ズワイガニを獲っています。漁場となるのは、水深1,000メートルほどの深海。船上では乗組員が紅ズワイガニを大きさごとに選別し、水揚げしたカニを赤泊港近くの直売所兼加工場へ運びます。

漁期は1〜2月の禁漁期を除く約10カ月。年末は贈答用の注文でにぎわいますが、「うちのお店が一番おいしい時期としておすすめしているのが、禁漁が明ける3月から5月頃なんです」と高橋さんが教えてくれました。
3月から5月頃は、雪解け水が流れ込んで海水が冷たい季節。佐渡では、大地の栄養分が雨や雪解け水とともに海へ流れ込み、さまざまな生き物を育んでいます。紅ズワイガニも、そんな島の豊かな自然の中で育つ海の幸です。
カニといえば冬のイメージでしたが、「弥吉丸」がおすすめするのは、意外にも春!春の佐渡旅にも、楽しみが一つ増えましたね。
紅ズワイガニのおいしさは、鮮度とひと手間が決め手!
「弥吉丸」の看板商品「浜茹で紅ズワイガニ」に使うのは、佐渡沖で獲れた紅ズワイガニ。茹でる前から殻が赤いのが特徴です。細長くて柔らかく、ズワイガニよりも甘みのある味わいの身、みずみずしいカニ味噌が魅力といわれています。一方、水分が多いため、時間がたつと臭みが出たり、水分が抜けて身が細くなったりしやすいことから、獲った直後の扱いが味を左右します。

「弥吉丸」では、紅ズワイガニを水揚げして、数十分以内の新鮮な状態で浜茹でします。港と加工場、直売所が近く、作業を自社でつなげられることで、運搬や引き渡しにかかる時間を抑えることができます。紅ズワイガニ本来の持ち味を損なわずに届ける仕組みが、おいしさにも直結しているのです。

「うちでは塩を入れて、カニを茹でています。味が一定になるように塩は毎回計量して、船上で選別したカニの大きさに合わせて、茹で時間も調整しています」と高橋さん。一杯ずつ大きさの違うカニを、同じようにおいしく仕上げる。そのための細かな配慮が、浜茹での味を支えています。
高橋さんの案内で、加工場も覗かせてもらいました。中へ入ると、茹で上がったカニの匂いがします。この匂いをかいでいるだけで、カニが食べたくなってきました(笑)。加工場では、スタッフの皆さんが手作業でカニの殻を切るなどの加工を行っています。茹でる場所と身を取り出す場所は分かれていて、それぞれの持ち場で仕事が進んでいました。売り場で手に取ることのできる、食べやすく整った紅ズワイガニにも、柔らかな身の風味や食感を守るための手間暇がかけられています。


さてさて、売り場に戻りましょう!ここには、一杯丸ごとの紅ズワイガニをはじめ、足、むき身、甲羅盛り、カニ爪がそろっています。
「一番人気は『丸特(まるとく)』(1,296円)ですね。大きさはばらばらですが、甲羅が付いている紅ズワイガニが1.5kgほど入っているので、カニ味噌もしっかり楽しめます。足だけが1.5kg入った『足のみ』(1,296円)も人気ですよ。地元の方は、やっぱり丸ごと買われることが多いですね」


紅ズワイガニ、1.5kgで1,296円って……や、安い!!
家で存分に味わうなら、不揃いの紅ズワイガニをまとめた「丸特」、殻をむく手間を省きたいなら「浜茹で紅ズワイガニ むき身」、カニ味噌も一緒に味わうなら「浜茹で紅ズワイガニ 甲羅盛り」がおすすめだとか。そのまま食べるのはもちろんのこと、味噌汁に入れてカニ汁にしたり、さっぱりとカニ酢でいただいたり、茶碗蒸しやサラダに加えたりと、さまざまな味わい方を楽しめるのがいいですね!
取材中に高橋さんから「どうぞ、味見してみてください」と差し出されたカニを、遠慮なくいただきました。カニの足の「棒」と呼ばれる部分は、びっしりと身が詰まっていて、噛むとジュワッと汁が口の中に広がります。ジューシーで、ほんのりとした甘みも感じられます。

一方、カニの爪の部分は、プリッとした弾力のある歯応えと、濃厚な旨みがたまりません。茹でる際に利かせたほどよい塩気が、カニの風味を引き立てています!おいし〜!!これは買わずには帰れません。

そして驚くのが、需要の多い年末も季節を理由に値上げしないという「弥吉丸」の販売姿勢。値札を見てみると……400gで756円、500gで1,404円、600gで1,944円。さらに、1,000gの大きな紅ズワイガニも4,860円です。600gでも2,000円を切るとは驚きです!この値段を実現できるのは、自社船での漁から加工、販売までを一貫して手がけているからなのです。
「トップシーズンだからといって、値上げはしていません。年間を通して同じお値段です。島外に暮らすお子さんへカニを送るという地元のお客様も多いんです」
特別な日の贈り物にも、普段の食卓にもぴったりな「弥吉丸」の紅ズワイガニ。河口さんが価格に驚いたという話にも頷けます。
カニを通して、佐渡の人と自然をつなぐ
「弥吉丸」では、佐渡沖で獲れる紅ズワイガニを知ってもらいたいと、地域の子どもたちに向けた食育活動や、職場体験の受け入れにも力を入れています。今年3月には、赤泊小学校の創立150周年と6年生の卒業を祝い、紅ズワイガニ70杯を提供し、食べ方を教える催しも開催されたそうです。こうした活動には、地元のおいしいものを食べることで、子どもたちに地域への誇りを持ってほしいという思いが込められています。

加工で出るカニ殻にも、地域とのつながりがあります。高橋さんによると、トキの餌に活用したいという依頼を受け、関係施設へ無償で提供しているそうです。「本来は処分する殻なので、持って行ってもらえて、うちも助かっています」と高橋さん。カニの殻は、意外なところでも役立っているんですね。
お客さんからの、持ち帰りや発送の相談にも対応しています。店頭スタッフが帰宅日を確認し、保冷の方法を案内することもあります。発送には別途送料がかかるため、車で訪れる人の中には、氷を詰めた箱で持ち帰る方もいるそうです。そう、「ごっつぉLIFE」でも何度かお話ししてきましたが……佐渡に旅行へ行くときには、クーラーボックスを持っていくと大変便利です!(余談ですが、私が日帰りで佐渡へ行くときには保冷バッグ、泊まりで行くときには中サイズのクーラーボックスを持参します)

「紅ズワイガニをご購入いただいた後、天気の良い日は、近くの海辺や公園までカニを持って行って、食べるのもいいですよ」と高橋さん。食べ終えた殻などは袋にまとめ、午後4時頃までにお店へ戻せば回収してもらえるそうです。高橋さんも「遠慮なくご利用ください」とのこと。なんという心遣い!こういうちょっとしたサービス、嬉しいですよね。
海に出る漁師さんや、加工場で働く皆さんの仕事を知れば、味わいはさらに深まるはず。赤泊の「弥吉丸」で、佐渡の海の恵みを存分に味わってください。

カニ直売所 弥吉丸
| 店名 | カニ直売所 弥吉丸 |
|---|---|
| 住所 | 佐渡市赤泊669-5 |
| 地図 | |
| アクセス | 両津港から車で約60分 小木港から車で約20分 |
| 営業時間 | 9:00~16:30 |
| 定休日 | 水曜 |
| 電話番号 | 0259-87-3146 |
| HP | https://www.yakichimaru.jp/ |
| SNS | Instagram https://www.instagram.com/yakichi_maru/ |
※各種情報は原則記事公開時のものです。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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おすすめポイント
おすすめする理由は、この二つに尽きます。
最初に値段を見たときは「こんなに安くていいの?」と驚きました。自社の船で紅ズワイガニを獲り、加工・販売まで一貫して行っているので、新鮮なうちにカニのおいしさを味わえるのが魅力です。その仕組みや設備もしっかりしていて勉強になります。
南佐渡の赤泊にあるお店のため、UZU佐渡からは車で約50分かかりますが、毎週のように買いに行っています(笑)。もっと多くの人に知ってほしいお店です。佐渡を訪れた際には、ぜひ「弥吉丸」さんに立ち寄ってみてください。