「ごっつぉLIFEグルメ」では、各エリアでご登場いただいた皆さんから地元の熱愛グルメをご紹介いただきます。
今回はラ パゴッドのジル・スタッサールさんと今井朋さんご夫妻からご紹介いただいた佐渡市にある「板前の店 竹屋」さんです。
私がおすすめします!
「佐渡島の金山」世界文化遺産登録で沸く相川の老舗料理店
ジルさんと朋さんがおすすめしてくれた「板前の店 竹屋」があるのは、佐渡市の相川地区。
両津港からは車で50分ほどの場所にあり、最近では「佐渡島の金山」世界文化遺産登録で話題になっているエリアです。
金銀山の繁栄で栄えた相川は、佐渡を代表する鉱山の町として知られ、江戸時代には佐渡を直轄地(天領)にして、相川に奉行所が置かれるなど注目を集めました。
相川の街を歩いてみると、旧相川裁判所の赤いレンガ塀が続く通りや時刻を告げる時鐘楼(じしょうろう)など、当時の面影を残す建物がたくさん残っています。
ゆっくり散策するのもおすすめですよ!
さて、相川の中心には、鮮魚店や商店、居酒屋などが並ぶ天領通り商店街があります。
その一角にあるのが「板前の店 竹屋」です。
現在は、創業者である石見光男(いわみみつお)さんと、二代目の善男さんの親子二人で切り盛りし、今年で創業50年を迎えます。
早速、お店に入ってみましょう!
テーブル席と奥に小上がりがあり、席数は35席ほど。
こちらは昼も夜も営業していて、メニューは昼夜共通になります。
佐渡の新鮮な魚介を使った丼もの、定食、蕎麦など、年代を問わずに手軽に味わえるメニューから、刺身や一品料理、季節によっては鍋物も充実しています。
佐渡の地酒と一緒に料理を楽しむお客さんも多いそうです。
あ、ちなみに!飲んべえの皆さんに朗報ですが、昼もお酒を楽しめますよ〜♫
「高級店なんて目指していませんよ。佐渡の普段のおいしさを知ってもらうことが一番の目的ですから」と笑顔で語るのは、料理を担当する善男さん。
善男さんの本職は漁師でありながら、高齢のご両親の営むお店を手伝うために、現在は休漁中。漁師仲間から手伝いの要請があれば、地元の網元へ出かけることもあるそうです。
「ジルと朋さんと知り合ったのは、フランス人の友人を介してでした。「フランスからシェフが来るので、佐渡の旬の魚を教えてやってくれ」と頼まれたんですわ。確かそれが、数年前の冬の初め頃で、鱈鍋と鱈の昆布締めを出したんですよ。それをジルがえらく気に入ってくれてから交流が始まったんだよね」
善男さんはジルさんとの出会いを、笑顔で振り返ります。
お互い、お店がお休みの日にはそれぞれのお店に足を運んで、料理やおしゃべりを楽しんでいるそうです。
漁師の経験と知恵を、こだわりの料理に込めて
ジルさんと朋さんは「何を食べてもおいしい!」とのことだったので、今回はそのおすすめの中から「海鮮丼」と「イカのごろ焼き」を注文しました。
「つい先日、新潟のテレビ局の方が取材に来てくださったんですよ。撮影とか食事に必要なものがあれば、遠慮なく言ってくださいね!」ともてなしてくれるのは、善男さんの妻・秀子さん。
秀子さんの温かい接客も、このお店の“味”なのです。
はい、そうこうしているうちに、海鮮丼が到着しました!
彩り鮮やかな魚介が、ご飯が見えないくらいに盛り付けられています。
これぞ佐渡の海の幸がぎっしり詰まった宝石箱やぁ……!
刺身も分厚く切ってあり、食べ応えも十分!小鉢やお味噌汁も全てお手製です。
そして、もう一つの看板メニューが「イカのごろ焼き」。
こちらは新鮮なイカと野菜を、イカのごろ(ワタ)入りの赤味噌で蒸し焼きにした一品です。
ごろとは「ワタ(内臓)」のことで、「これはね、漁に出た漁師たちが船の上で食べる、まかない飯から生まれた料理なんですよ」と善男さん。
イカのワタと赤味噌にバターのコクが加わった、香ばしい匂いが食欲をそそります。プリップリの食感に焼き上がったイカの食感も絶妙です。これは……ご飯との相性も良さそう〜!
ちなみに竹屋のご飯は、大釜で炊く佐渡産コシヒカリ!このご飯も「おいしい」と評判なのです。
「漁師は船の上で、獲れたての魚を一番おいしい調理法で食べてきましたからね。その漁師の知恵と経験を、お客様にも味わってもらいたいと思っているんです」と意気込む善男さん。
元漁師の父・光男さんから受け継いだその想いを、今も大切に守り続けています。
旬の味を、最もおいしい食べ方で味わってほしい
そして、最後は!
ジルさんと朋さんが最初に食べて、感動したという「鱈鍋」。鱈は冬の佐渡の味覚を代表する魚です。
「鱈は足が早くて痛みやすい魚。高級魚じゃなくて日常的にも食べる魚だからこそ、おいしい食べ方もたくさんあるんですよ」と善男さん。
ちなみに漁師さんたちが船で食べる鱈鍋は「具材なんて鱈とネギだけ。大根なんて入れるのは、よっぽどの贅沢な時だけだよ(笑)」とも教えてくれました。
こちらの鱈鍋は、新鮮な鱈と共に、白菜とネギ、しめじ、水菜など野菜もたっぷりです。
鰹出汁と鱈から溶け出す旨み、この二つが織りなす出汁のおいしさは、まさに極上!
身はもちろん、肝もだらみ(白子)も余すことなく味わえます。素材の鮮度を活かしたシンプルな調理法だからこそ、鱈本来の深い味わいが際立ちます。
「県内外から来られたお客様はね、親戚が来たみたいなものだと思っています。例えば、久しぶりに親戚のおじちゃんおばちゃんが来たら、地元のおいしいものを食べてもらって喜ばせたいでしょ?俺は小さい時から、そんな気持ちで魚を獲りに行ったりしてね。観光客とも仲良くなったりしていたんです」とにこやかに語る善男さん。
形式的なサービスや、マニュアル化されたおもてなしではない、本当に大切な人を迎えるような素直な気持ちで料理を作り、お客様を迎える。そんな善男さんの想いが、一つ一つの料理に込められています。
佐渡・相川の漁師町・姫津で、長年漁師を生業としてきた石見家。
その歴史は420年ほど前にまで遡り、徳川幕府が佐渡金山を手に入れた際、島根県の石見地方から漁師たちを呼び寄せ、その子孫である石見姓の方々が、今も姫津で漁業を営んでいるそうです。
「うちの集落はほとんどが石見姓なんです。農地もないから、漁業一筋でやってきたんですよ。面白い歴史でしょ?」と善男さん。幼い頃から海と共に育ち、姫津のお隣にある達者海岸で泳いで育った思い出を語ってくれました。
「50年くらい前の達者海岸は、今よりももっと水がとても綺麗でした。大人が首まで入っても、自分の足が見えるくらいでね。砂浜で魚を焼いて食べたり、サザエを獲って焼いて食べたり。観光客の方々が羨ましそうに俺らを見ていたものです(笑)」
以前、取材をさせてもらったShow by JAWSの岡部さんも達者出身でしたよね!
「そうそう。岡部くんが生まれるうんっと前の話だけどね(笑)」
善男さんの幼い頃からの経験と漁師の知恵が、「板前の店 竹屋」の料理に受け継がれ、佐渡の海の幸を最高の形でお客様に届ける原動力となっているのですね。
どれも絶品でした……石見さん、ごちそうさまでした!
板前の店 竹屋
店名 | 板前の店 竹屋 |
---|---|
住所 | 佐渡市相川一町目5-3 |
地図 | |
アクセス | 佐渡汽船 両津港から車で約 50 分 |
営業時間 | 11:30~14:00、18:00~21:00 |
定休日 | 木曜、日曜の夜、他不定休あり |
電話番号 | 0259-74-3328 |
※各種情報は原則記事公開時のものです。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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おすすめポイント
友人に初めて連れて行ってもらった時に、地物のおいしさを味わってもらいたいと鱈(たら)鍋を特別に作ってくださったんです。
その時の鱈鍋のおいしさ、竹屋さんのご夫婦の心遣いと料理の腕にも感動しました。
お昼の定食や丼ものはどれもおいしいですし、ジルはブリカツもお気に入りです。「佐渡の新鮮な魚を使った料理は、パリのレストランでも味わえないような特別なものばかりだ」とジルも絶賛しています。