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10年間歩み続けている 自然に沿った 持続可能な農業

10年間歩み続けている自然に沿った持続可能な農業

ごせんgosen
れんこん農家

羽賀 恵子 (はが けいこ)さんの自己紹介

五泉市でれんこんの専業農家をしています。ずっと慣行栽培をしてきましたが、農薬、化学肥料をやめて11年目になります。ブランド「KEIKO PRINCESS OF LOTUS」で、れんこんの新しい可能性を発信中です。農薬と肥料を一切使わないから、れんこんだけでなく蓮の葉や花も余すことなく使っていただきたいですね。農作業が終わった後は出湯温泉などへ出かけて、汗を流すのが癒やしの時間になっています。

INTERVIEW

無農薬栽培への転換という決断

前編はこちら

羽賀さんが長年続けてきた化学肥料や農薬を使用した慣行栽培をやめて、無農薬・無化学肥料栽培へ転換したのは2015年のこと。羽賀さんのブランドれんこん「KEIKO PRINCESS OF LOTUS」は、一朝一夕で生まれたわけではありませんでした。

農薬や化学肥料をやめた理由について尋ねてみました。

「家での普段の食事をはじめ、生活全般は自然に沿った暮らしを意識しながらも、れんこん作りには農薬や化学肥料を使ってることへの矛盾、それは年々増していくばかりでいました。病虫害や浮草の問題、鴨や白鳥による食害など課題も多いれんこん栽培なので、農薬除草剤は不可欠と当たり前に思ってやってきましたが…。
たくさんの肥料と農薬の散布は、私にとってとても重くて厳しい作業でもありました。このやり方でこのまま続けられそうにないと限界を感じるようになっていったんです」

先祖から受け継いできたれんこん田は守っていきたい。けれど、年齢と共に身体への負担と先への不安が増していく中、れんこんも畑の野菜のように農薬や化学肥料に頼らなくてもできないものか……。羽賀さんは真剣に考えるようになっていきました。

「昔、農薬や化学肥料などなかった頃は今ほどの収量は無かったとしてもちゃんとれんこんは作られてきたのだから、きっと出来るんじゃないかと思えてきたんです」と羽賀さんは当時の気持ちを振り返ります。

無農薬・無化学肥料栽培への転換の後押しとなった出来事は、羽賀さんにとって幾つかありましたが、れんこん育種家の方の息子さんとの出会いもその一つでした。

「その方とれんこんの無農薬栽培について話をする機会がありました。無農薬栽培は難しいのではないかと尋ねたら『きっとできると思います』と。その情熱的な姿勢に、私も挑戦してみたいという気持ちが強く湧いてきたんです」

そこで、羽賀さんは一大決意!以前から考えていた無農薬・無化学肥料のれんこん栽培に着手したのです。

虫も草も、土壌を豊かにする大切なパートナー

2015年、羽賀さんは農薬と化学肥料の使用を停止。
しかし、無農薬・無化学肥料での栽培は、予想しなかった困難の連続でした。当初、最大の敵だったというのが、ザリガニ!
「特にザリガニの被害は深刻で、芽を切られてしまい、その年の収穫を諦めなければならないということが何度もありました」
多い時は、一日に1,000匹近く捕獲できるほど大量に発生していた時期もあったのだとか。
ひぇ〜〜ザリガニの入れ食い状態ですね……。

れんこん田に変化が訪れたのは数年後のことです。
「農薬をやめたことが影響しているのか、れんこん田の生き物たちの種類も数も増えてきたんです。」

特に重要な存在だと羽賀さんが考えるのが、ウシガエル!ウシガエルはザリガニの天敵として重要な役割を果たしてくれる立役者なのだとか。ウシガエルのおかげで、ザリガニの数も減少。羽賀さんが農薬や肥料の使用をやめたことで、生き物たちの生態系も蘇ってきたのでしょうか。

「生き物たちがうまく循環してくれることで、れんこんはあらゆる恩恵を受けながら育っていく、そういった自然の仕組みが10年をかけて実を結び始めました。今もまだ試行錯誤繰り返してますが、自然から学ぶことは計り知れないですね!」と羽賀さんは笑顔で振り返ります。

この経験を通じて、羽賀さんの農業に対する考え方も大きく変わりました。それは「草も虫も敵ではない」ということでした。
もっと自然に沿って生きて行きたいという思いも、羽賀さんの中で強くなっていきました。

EPILOGUE

自然と共生する、持続可能な農業へ

無農薬・無化学肥料のれんこん栽培を軌道に乗せた羽賀さんですが「れんこんを通じて、まだまだやりたいことがたくさん!」とやる気に満ちています。
その一つが、れんこんを皮ごと使った料理やこれまでにないれんこんのアレンジレシピの考案です。羽賀さんは実際にさまざまなれんこん料理を提案・発信していきたいと意気込んでいます。

羽賀さんが作ったれんこん料理の数々。おこわ、ケーキ、和え物など、今もさまざまなレシピを考え中だそうです(※ご提供画像)

「皮にも栄養多く含むれんこんです。皮付きのままでれんこんステーキにしたり、天ぷらにするのもいいですよね。安心して使っていただけます!」と羽賀さん。

私の場合、れんこんはきんぴらや煮物ばかりになってしまうのですが「どんな料理に使うのがおすすめですか!?」と羽賀さんに尋ねると、カレーライスの定番材料のじゃがいも、人参、玉ねぎにプラスしてれんこんを入れたり、切り刻んでチャーハンの具材にしたり、ハンバーグにもすり下ろしたれんこん、しゅうまいに入れたり、スライスしてガレット風、麻婆豆腐やスープなどとろみがほしい料理にすり下ろして加えたり……とおいしそうなレシピのアイデアが止まることを知りません。これは全部食べたい(笑)。

また、無農薬栽培のもう一つの大きなメリットは、れんこんだけでなく蓮の葉っぱや花まで活用できること。実は蓮の葉も料理に使えて、肉や野菜を包んで蒸し焼きにしたり、天日干しにしてお茶にも使えるのだとか。余すことなく使えるのは嬉しいですね!

「仕事しながら、ふと香ってくる蓮の花の香りにも癒やされるんです。今年の夏こそは、蓮の花から精油を採ってみたいと思っています」と羽賀さんは意欲を見せます。
れんこんというと、食べることばかり考えていましたが、食だけでないですね。資源や素材など、活用用途がまだまだありそうです!

「一人でする仕事が多かったのですが、いろんな人に助けてもらいながらやってこれたから、今があると思います。そして、綺麗な水が豊富なこの土地にも感謝です。自然に沿って暮らしていけるって、本当に幸せなことだと思います」

れんこん田の真ん中で、笑顔で語る羽賀さん。
「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合(ゆり)の花」といいますが、水と土、風と生き物と共に歩む羽賀さんの姿は、凛と咲く蓮の花のようでした。

さて、羽賀さんのれんこんが販売されるのは8月以降。丹精込めて作り上げたれんこんを、ぜひ味わってみてください!

羽賀さんの特別なこと、
無農薬・無化学肥料での
れんこん栽培にかける気持ち、
自然との共生への寄り添い、
新しいことへの挑戦など、
たっぷりと教えていただきました!
ごっつぉさまでしたー!!

羽賀さんの#マイごっつぉ

れんこん田での大好きなコーヒータイム

羽賀さんの「マイごっつぉ」は、農作業中にれんこん田で過ごすコーヒータイム! 「暑い日の作業は大変なんですが、れんこん田に吹く風に癒やされてます。時々吹くスーッとした風が最高に気持ち良いです!道具を持参して、お気に入りのコーヒーを淹れてひと息ついて楽しんでます」と羽賀さん。 農作業で酷使した身体を一息ついて労わる時間こそが、羽賀さんにとって何ものにも代えがたい「マイごっつぉ」なのですね。羽賀さん、ありがとうございました!

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備考【購入場所情報】
●ナチュレ片山 
新潟市東区卸新町3-16-31 Tel. 025‐270‐1188
https://nature-katayama.jp/
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