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【Niigata Roots プロジェクト】新潟に新しい酒文化を。異業種から挑戦を続けるクラフトウイスキー蒸留所「新潟亀田蒸溜所」(新潟市江南区)

こんにちは!新潟地域魅力発信強化プロジェクト(通称:Niigata Roots プロジェクト)チーム「NO WASH NO LIFE」です。

▶「Niigata Roots プロジェクト」とは

新潟地域にルーツを持つ新潟地域振興局職員(新潟県で暮らし、新潟地域の仕事に携わっている様々な分野の職員)の私たちが、等身大の目線や感性で新潟地域の魅力を発信するプロジェクトです。

今年度は2チームで活動し、ウェブサイト「ごっつぉLIFE」や新潟地域振興局のSNSに記事を掲載します。

参考:【新潟】新潟地域魅力発信強化プロジェクト(通称:Niigata Roots プロジェクト)のご紹介(新潟県ホームページ)

今回は新潟に新しい酒文化を。異業種から挑戦を続けるクラフトウイスキー蒸留所「新潟亀田蒸溜所」(新潟市江南区)を紹介します。

酒蔵の数が全国一であり、日本酒のイメージが強い新潟ですが、新潟市江南区亀田の工業団地の中に、国内外から注目を集めるウイスキー蒸留所があることを皆さん知っていますか。

それが「新潟亀田蒸溜所」。2019年に設立したばかりの新しい蒸留所です。

驚くことに、蒸留所を設立したのは酒造会社ではなく、株式会社大谷という全国に印章店を多く展開するはんこ会社。

なぜ、全くの異業種がウイスキー造りを始めたのか、そして、注目を浴びる新潟のウイスキーとはどのようなものなのか。

実際に新潟亀田蒸溜所へ行き、設立者である堂田浩行さんに取材させていただきました。

奥様の一声から始まったウイスキー造り

北海道出身の堂田さんは、地元の大学卒業後に入社した東京の製薬会社の営業として新潟に赴任し、その後、株式会社大谷の創業者ご息女であった奥様との出会い・結婚を機に株式会社大谷へ転職することとなりました。

ウイスキーと出会ったのは、大学時代にゼミの先生にニッカウイスキー余市蒸溜所に連れて行ってもらったことがきっかけ。余市蒸溜所で働きたいと思うほどウイスキーの虜になったのだとか。就職後も、新潟にやってきてからも変わらずウイスキーが大好きで、毎日のように晩酌を楽しんでいたという堂田さん。ある日、ニッカ竹鶴を飲みながら「ウイスキーブーム、原酒不足で価格が高くなってきた。これから簡単には手の届かないものになるなぁ」とぼやいたところ、それを聞いた奥様から「そんなにウイスキーが好きなら自分でつくればいいじゃない」と言われました。元々、ウイスキー造りにも興味があった堂田さんは、そんな奥様の一声から蒸留所の設立を決意しました。

(今回取材に応じてくれた、堂田浩之さん)

世界中で認められるウイスキーへ

堂田さん自身お酒造りに携わった経験は当然なく、全く0からの挑戦でした。株式会社大谷の会長であった奥様のお父様も当時大反対。しかし、奥様からの後押しや堂田さんの熱意もあって、今では協力してもらっているとのことです。

その他にも様々な苦難がありましたが、ウイスキーの本場スコットランドや日本全国各地の蒸留所での視察や製造の研修、設備面の協力などを経て、2019年、株式会社大谷の駐車場敷地内で「新潟亀田蒸溜所」をついに設立。2021年2月には蒸留が開始されました。

そして2023年には、蒸留直後の原酒「新潟亀田ニューポットピーテッド」が世界的なウイスキーのコンペティションである「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」の「ニューメイク・ヤングスピリッツ部門」で世界最高賞を獲得。さらに、2026年にも「新潟亀田ニューポットピーテッド 2026 Edition」が同部門で世界最高賞を獲得し、2度目の世界一に輝きました。その他のコンペティションでも既に多数の受賞歴があり、設立したばかりのクラフトウイスキー蒸留所としては異例。

奥様の一声から始まった新潟の蒸留所が、たった数年のうちに世界中で注目を浴びる蒸留所となりました。

実際に蒸留所を見学

今回、実際に蒸留所を見学させていただき、ウイスキーの造り方や新潟亀田蒸溜所の特徴を説明いただきました。

① 原料

ウイスキーは麦やトウモロコシなどの穀物を原料に造られますが、新潟亀田蒸溜所で造られているのは大麦麦芽(モルト)のみを原料とする「モルトウイスキー」です。

大麦麦芽以外の穀物を原料とするものは「グレーンウイスキー」と言いますが、グレーンウイスキーが一般的に「サイレント(物静かな)スピリッツ」と呼ばれるのに対して、モルトウイスキーは「ラウド(声高な)スピリッツ」と呼ばれ、モルトウイスキーの方が香りや味の個性が強いことが特徴です。

麦芽は初めに粉砕され、粒の大きさによって、ハスク(1.4mm超)、グリッツ(0.2mm~1.4mm)、フラワー(0.2mm未満)に分けられます。

新潟亀田蒸溜所では、現在イギリス産と新潟県産の製麦された麦芽を使用しており、フラワーの比率を多く粉砕することで、麦の香りをより強く出すことが特徴。

将来的には原料の全てを新潟産にすることを目指しているとのことです。

(左からハスク、グリッツ、フラワー)

② 糖化

①で粉砕された麦芽は、65度~75度に温められた水と1:4~6の割合でマッシュタンと呼ばれる糖化槽へと入れられます。これにより麦芽中のデンプンがアルコール発酵可能な糖へと変化します。この時使用される仕込水も酒質の風味や香りを多く左右し、新潟亀田蒸溜所では阿賀野川の水を使用。

蒸留を始めるにあたって、この工程に一番苦労し、試行錯誤を重ねたと堂田さんは語ります。

(中央の機械がマッシュタン)

③ 発酵

②で得られた麦汁は酵母が働きやすい20度程度に冷却し、ウォッシュバックと呼ばれる発酵槽へと移され、酵母を投入して72時間程かけて発酵されモロミになります。この時のアルコール度数は7~9%程。新潟亀田蒸溜所では木製のウォッシュバックを使い、発酵時間を通常より長い96~120時間程に設定しています。こうすることで、乳酸菌などの微生物の動きが活発になり、より独特なフレーバーを生み出すとのことです。

(発酵により二酸化炭素が発生し、上部に泡が溜まります。)

④ 蒸留

③により得られたモロミは、ポットスチルという蒸留器へ移され、より度数の高いお酒へと蒸留されます。蒸留は通常2~3回行われ、新潟亀田蒸溜所でもバルジ型とランタン型という二つのポットスチルを用いて2回蒸留しています。ポットスチルは銅製のため、蒸留の段階でモロミの中にある不快な香りを取り除いてくれるのだとか。

また、新潟亀田蒸溜所では、ウイスキーの蒸溜工程で生まれる温水と、蒸溜後の麦芽由来の副産物を有効活用しながら、なんとウナギの養殖も行っているとのこと。「新潟ウイスキーうなぎ」として新潟亀田蒸溜所HPのネットショップから購入することができるので、ぜひ味わってみてください。

(奥がランタン型のポットスチル)

⑤ 熟成

④で蒸留されたものはニューポット(ニュースピリッツ)と呼ばれ、無色透明で度数70%前後のお酒です。これを樽の中に入れて数年間熟成することにより、度数が落ち着き、よく見る琥珀色のウイスキーになります。樽は通常新樽ではなく、シェリー(酒精強化ワイン)やバーボン(アメリカンウイスキー)などお酒の熟成に一度使用された古樽を用いますが、その種類、樽材、また樽のサイズによってもウイスキーの風味が大きく左右されるのです。新潟亀田蒸溜所では、バニラやキャラメルのような甘さのつくバーボン樽熟成が多く、また、桜樽熟成や、温度が高くなるコンテナボックスの中での樽熟成など、様々 な熟成方法を試行錯誤しているとのこと。

⑥ ボトリング

熟成されたウイスキーは同じ樽でも、その樽毎に個性が生まれます。そのため、通常、様々な樽で熟成されたウイスキーを混合し、統一的な風味にしてから、瓶詰めして販売されます。もちろん、混合する比率や種類によって最終的な仕上がりが変わってきます。

写真は、実際に新潟亀田蒸溜所でこれまでに販売されてきた商品です。

私も実際にいくつか買って飲んでみました。それぞれに違った個性がありつつも、堂田さん自身が甘いウイスキーがお好きということで、余韻の残る深い甘さが新潟亀田蒸溜所の一つ特徴だと感じました。

新潟亀田蒸溜所の目指す姿

取材の最後に、堂田さんに新潟亀田蒸溜所の目指す姿について聞いてみました。

「私たちはクラフトウイスキー蒸留所なので、全員が好むようなウイスキーよりも、一万人に一人が一番好きと言ってもらえるウイスキーを造っていくべきと思う。そして、やはり新潟の人に一番飲んでもらいたいし、新潟亀田蒸溜所のウイスキーが新潟を訪れるきっかけの一つにもなれたら嬉しい。これからも新潟から世界に羽ばたくウイスキーを目指して造り続けたいです。」

堂田さんのウイスキーに対する愛、熱意、こだわりを深く感じることのできる今回の取材でした。ウイスキーが新潟の新しい酒文化として定着する未来もそう遠くはないのではないでしょうか。新潟亀田蒸溜所の今後の挑戦に目が離せません。

この記事を読まれた方も、今夜の晩酌は、ぜひウイスキーを楽しんでみてはいかがでしょうか。

また、今回紹介した蒸留所見学ですが、今年の4月から一般の方の受付を新潟亀田蒸溜所の公式HPより開始しました。ぜひそちらも確認してみてください。

新潟亀田蒸溜所
ホームページ:https://kameda-distillery.com/
住所:新潟市江南区亀田工業団地1-3-5
TEL:025-382-0066
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