
「にいがた」と「あいづ」を中心に、地域の誇りや宝物を支える人々の物語をご紹介してきた「ごっつぉLIFE」。
これまで100人を超える方々との出会いを通じて、地域や文化の継承者、地域の新しい価値づくりに取り組む方々の情熱や知恵、その土地の魅力を伝えてきました。
また、「ごっつぉLIFE」では魅力の発信に加え、これまで登場いただいた方々に新たなつながりや交流を深めていただくことを目的とした登場者間交流も実施しています。
今回はその様子をお伝えする第6弾として、今年の6月、7月に実施した2件の交流をご紹介いたします!
今回交流いただいた皆さまの「ごっつぉLIFE」掲載記事は、このレポートの最後にご紹介しています。こちらもぜひ、登場者交流のレポートと併せてご覧ください。

まず、ご紹介するのは、6月末に佐渡市の「LA PAGODE(ラ パゴッド)」で実施した、日本料理店「日本料理 あららぎ」を営む佐藤大介(さとうだいすけ)さん、日本茶専門店「うずまき屋」の向井康太郎(むかいこうたろう)さん、佐渡市の「森と火と食をつなげるラボ LA PAGODE」を営むジル・スタッサールさん、今井朋(いまいとも)さんご夫妻の登場者間交流です。
今回の交流は、日本料理 あららぎの佐藤さんとうずまき屋の向井さんのお二人が、フランス出身の料理人であるジルさんが佐渡へ移住し、島の食材と向き合いながら料理を作る姿に興味を持ったことと、向井さんが「料理人がお茶を使ったら、どんな料理になるのだろう」という興味と期待から実現しました。
当初はオンラインでの交流も検討していましたが、「料理は実際に食べてみなければ分からない」という話から、佐藤さんと向井さんが佐渡へ渡り、LA PAGODEで食卓を囲むことに。
この日、テーブルに並んだのは、佐渡産の水ダコの出汁を使ったズッキーニとキュウリのガスパチョ、佐渡で獲れたムール貝、トビウオの卵、佐渡産のヒラメなど、島の食材を活かした料理の数々。朝採りの野菜や店の裏で育てたハーブ、佐渡の作家による器など、一皿ごとに佐渡の風景が立ち上がってくるようで、食事をしながら島そのものを味わっているような感覚になりました。



料理を楽しみながら、その背景にある土地や暮らしにも話が広がっていきました。佐藤さんが最も関心を寄せたのは、ジルさんがなぜ世界のさまざまな土地を巡った末に、佐渡を選んだのかということでした。
その問いかけに対して、「佐渡に初めて来た時に感じたのは、ここは単なる小さな離島ではないということでした。広大な島のなかにぎゅっと海の豊かさ、山の豊かさ、里の豊かさが凝縮していて、さらに歴史という奥行きや現代社会で失われつつある地域コミュニティの豊かさがあるのです。また、移りゆく四季の変化もはっきりとしていて、それぞれの季節ごとに豊潤な素材が手に入るという意味では、こんなにも料理人にとって恵まれた環境を提供してくれる土地は、私がこれまで経験してきた土地のなかでも唯一無二の場所です」と、ジルさんが佐渡への思いを語ってくれました。
佐渡は魚介、農作物、山菜、ジビエなど、四季によって異なる食材が身近な場所から届きます。さまざまな土地で料理に携わってきたジルさんにとって、季節の変化がそのまま料理へ反映される佐渡は、料理人として刺激を受ける環境だといいます。
近所の漁師や農家から、その日にとれた魚や野菜が届き、届いたものを見てから何を作るかを考えることもLA PAGODEの日常です。

その話に佐藤さんも深く共感します。「以前は、全国から食材を取り寄せるスタイルでしたが、ここ数年は、地域にあるものを活かして料理を組み立てる方向へと、少しずつ考え方が変わってきました。新潟の食材を意識しながら料理に向き合っています」と佐藤さん。料理人が先に作りたいものを決めるのではなく、目の前の食材に合わせて料理を考えるという共通点について、和食とフランス料理というジャンルを超えて話が弾みました。

そして、向井さんから佐藤さん、ジルさん、今井さんに投げかけられたのは、「お茶を飲み物ではなく、食材として使うことはできるのか?」という問いでした。
「お茶は、急須で入れて飲むものとして捉えていたのですが、少し考え方が変わってきて、食材として使えるのではないかと思うようになりました。料理人のお二人から見た、茶葉の可能性を知りたいです」と向井さん。

佐藤さんからは「お茶を煮出してスープや炊きものに使ったり、ジュレにして魚介に合わせても良さそうですね」という具体的なアイデアが飛び出し、ジルさんは「発酵させた中国茶を使って魚に香りを移すなど、お茶を料理に取り入れたことは何度かあります」とご自身の経験を紹介しました。
技術的に見れば、お茶を料理へ使う方法は幾つもあります。しかし、話は次第に「使えるかどうか」から、「なぜ使うのか」へと深まっていきます。

お茶の香りを魚や肉に移すことはできても、それだけで食べた人の感動につながるとは限りません。お茶そのものが持つ個性を活かしながら、ほかの食材や温度、食感、一皿の中で、コース全体とのバランスをどのように組み立てるのか。料理人としての佐藤さんとジルさんの考えを聞きながら、向井さん自身が考えてきた「お茶の可能性」を改めて見つめ直している様子が、印象に残りました。
食材と料理、お茶、そしてそれを生み出す土地。それぞれ異なる立場から「食」に向き合う三者だからこそ、新しい使い方を探すだけではない、多角的な対話へとつながった交流となりました!

続いてご紹介するのは、7月に新潟市中央区の「ホテル日航新潟」で実施した、加茂市でオーダーボーダーカットソーを手がける「G.F.G.S.」の小栁雄一郎(おやなぎゆういちろう)さんと、ホテル日航新潟営業部 副部長の伊関賢一(いせきけんいち)さん、野瀬めぐ美(のせめぐみ)さんの登場者間交流です。

続いての交流は、小栁さんから寄せられた「ホテル日航新潟の港の見える場所でカーイベントを開催できないか?」というアイデアが発端となって行われました。
G.F.G.S.はボーダーカットソーの受注生産を中心に、アパレルの枠を越え、車や音楽、アートなどを掛け合わせた活動にも取り組んでいます。
小栁さんがカーイベントを始めるきっかけの一つとなったのが、日産自動車株式会社とのつながりでした。
「アパレルと車を組み合わせることで、どんな新しい発想が生まれるのかを、ずっと考えていたんです。古着やレコードなど古いものが若い世代からも注目されていることなどを背景に『もっとライフスタイルに寄り添った車のイベントを』と弥彦村でカーイベントをスタートしました。当初、約400人が参加したイベントは、回を重ねる中で規模を拡大して、多い回には4,000~5,000人ほどが訪れるまでになりました」と語る小栁さん。

一方で、規模が大きくなるにつれて見えてきたのが、駐車場や会場のキャパシティーといった課題でした。県外から訪れる参加者も多いことから、小栁さんは弥彦とはまた違った新潟の魅力を見せられる場所を探していました。そこで候補として浮かんだのが、信濃川河口に位置する新潟市中央区の「万代島」です。
「新潟の港町の景色の中で車を楽しみ、そこに音楽やファッションを組み合わせる。さらにホテルと連携することで、県外から訪れる参加者の宿泊まで含めたイベントにできないかと考えました」。小栁さんから構想が語られると、伊関さん、野瀬さんからもさまざまなアイデアが挙がりました。
「ホテルだけでは多くの車を展示できるスペースに限りがありますが、周辺施設との連携を図りながら、ホテルの宴会場や31階の展望室では古着の販売やトークイベント、音楽イベントなどを開催することも考えられますね」と伊関さん。さらに、県外からの参加者を想定した宿泊との連動についても話が広がりました。

「それなら、こんなこともできるかもしれない」。互いの構想が広がりを見せ、一つの提案をきっかけに、イベントの輪郭が少しずつ形になっていくようでした。
小栁さんからは、カーイベントとライブ、宿泊を組み合わせた「カーライフパック」のアイデアも登場。話を進める中で「最初からたくさん車を集めるのではなく、象徴的かつ他ではなかなかお目にかかれない車を数台展示し、音楽やトークを楽しむという小規模な企画から始める」という案も生まれました。
小栁さんの思いの根底にあるのは、「リアルな体験」への関心です。小栁さんが、実際にものを見て、触れて、感じることや、「本物とは何か」を考えることを大切にされているのが、ひしひしと伝わってきました。
ホテル日航新潟のお二人からも、展望室などを活用すれば、小規模なイベントから始められる可能性が示されます。
「スモールスタートでまず形にし、反応を見ながら少しずつ育てていくのもいいですね。これまで弥彦でイベントを育ててきた小栁さんの経験を活かして、どんな形なら実現できるかを一緒に考えていきたいです」と野瀬さんも笑顔で語ります。

車、ファッション、音楽、ホテル、そして観光。それぞれの強みを掛け合わせながら、新潟だからこそできるライフスタイル型イベントの可能性を探る交流となりました。
ちなみに、小栁さんと伊関さんは同世代ということもあり、対話を通じて意気投合されていました。「実際にお会いしないと、化学反応は生まれませんよね」とお二人が語っていたことに、私も深く頷きました。

交流会に参加した皆さんからも感想をいただきました。
「料理は、その人自身が出るものだと思います。それぞれに個性があっていいし、今は昔のように競い合うというより、それぞれが共存しているような感覚があります。みんな違うからこその面白さを引き出していきたいものです」
旬の食材と季節の出会いを大切にする日本料理店「日本料理 あららぎ」佐藤大介さん(ごっつぉLIFE新潟市 2023.10.11参照:https://gozzo-line.com/niigata/6469/)
「佐藤さん、ジルさんと今井さんのお話から、お茶は料理に使えるかどうかではなく、それが人の感動や、自分が本当に伝えたいことにつながるのかが大切なのだと気付かされました。改めて自分の足元と進む方向を確認できる、とても良い機会になりました」
お茶の個性と新たな楽しみ方を追求する「日本茶専門店 うずまき屋」向井康太郎さん(ごっつぉLIFE新潟市 2024.7.17参照:https://gozzo-line.com/niigata/8404/)
「短い時間での交流会でしたが、新潟の『食』を二代、三代と時間をかけて培ってきた向井さんや佐藤さんの思想や、時代とともに変化してきたこと、変化してこなかったことをお聞きできたのは、とても貴重な体験でした。また、今後、お互いのお店を訪問するなどしながら、さらに交流を深めていけそうなのが何よりもうれしいです。こうした横のつながりは、佐渡のように孤島になってしまうとなかなか難しいですが、佐渡というテロワールから、新潟というより広く豊かなテロワールを意識できる機会となりました」
佐渡の豊かな食材と自然に向き合い、料理を通して土地の魅力を伝える「森と火と食をつなげるラボ LA PAGODE」ジル・スタッサールさん、今井朋さんご夫妻(ごっつぉLIFE佐渡 2025.1.8参照:https://gozzo-line.com/sado/9251/)
「普段は服作りの視点で物事を見ることが多いですが、情報化社会の中でAIが普及し、普通になっていく世の中で、『本物とは何か』『リアルな体験とは何か』ということがここ数年のテーマでもあります。実際にお会いしないと化学反応は生まれないと思っていますので、このような機会から生まれたご縁を、リアルな形にできたらと考えています」
ファッション・車・音楽・アートを横断するものづくりに取り組む「G.F.G.S.」小栁雄一郎さん(ごっつぉLIFE県央 2023.4.19参照:https://gozzo-line.com/kenoh/4726/)
「従来のホテルとしての立ち位置ではなく、新たなホテルの未来や在り方を想像できた気がします。異業種である小栁さんと共通の目標、目的に向かってお話を進めていくことで、新潟県をもっと盛り上げていくことができると感じました。今後の打ち合わせ次第で、イベントがどのように動いていくのか私も楽しみです」
ホテルという枠を越え、新潟の新たな魅力や交流の場を生み出す「ホテル日航新潟」野瀬めぐ美さん(ごっつぉLIFE新潟市 2022.10.26参照:https://gozzo-line.com/niigata/2899/)
今回の交流では料理と食、ライフスタイルや観光など、ジャンルが異なる分野で活動する人たちが実際に顔を合わせることで、新たな気づきや可能性が生まれていきました。
それぞれのつながりから、これからどんな「ごっつぉ」が生まれるのでしょうか?これからも「ごっつぉLIFE」は、登場者同士が地域や業種を超えてつながる機会を、積極的に作っていきたいと考えています。今後の展開もお楽しみに!
今回交流した「ごっつぉLIFE」登場者の皆さまの記事もぜひご覧ください!