
林 美樹 (はやし みき)さんの自己紹介
新潟県五泉市出身です。飲食店運営会社で現場業務から店舗の運営企画まで幅広い経験を積み、その後独立して広告業を開業しました。ご縁があり2024年4月より道の駅国上の駅長に就任。趣味は、おいしいお酒とグルメを求めて旅をすること。神社巡りも好きなんですよ。
PROLOGUE
新潟県随一のパワースポットと称される「彌彦神社」から、車で10分足らず。酒吞童子伝説の残る越後最古の名刹「国上寺」や良寛が過ごした「五合庵」など、多くの史跡が散在する、燕市の国上山の麓にやってきました。

訪れたのは、キャンプ場。ではなく……

あぁ、バーベキュー場!でもなく……

日帰り温泉でもないんです。
と言うより、これらぜ~んぶを兼ね備えた道の駅なんです!

道の駅と言えば、売店とフードコート、そしてお手洗いというイメージだったごっつぉライターの私。しかし、ここ「自然と遊ぶ道の駅 SORAIRO国上(以下、道の駅国上)」は、2022年のリニューアルを経て、従来の道の駅のイメージを覆す施設として注目を集めています。
「618人が選ぶ!にいがた道の駅総選挙(注1)」で第1位。「全国1230駅を制覇したプロが選んだ!『道の駅大賞』(注2)」で北陸ブロック第2位、全国総合部門第10位に入賞を果たすなど、その評判は折り紙付き。県内外に多くのファンを持つ人気スポットなのです。
今回はこちらにお邪魔して、道の駅国上の魅力や人気の秘訣について、駅長の林美樹(はやし みき)さんにインタビューをしてきました。
注1:なじラテ2025年6月28日放送/BSN新潟放送
注2:田舎暮らしの本2025年4月・5月合併号/宝島社
INTERVIEW
20年の歴史を経て大変身した道の駅

「道の駅国上」のはじまりは、2002年8月。同じ敷地内にある日帰り温泉施設「てまりの湯」が1993年に最初に建てられ、その後食堂や売店などを備えた休憩施設「ふれあい交流センター」が併設。こちらが原型となり、2002年に道の駅として登録されました。
その後20年が経ち、施設の老朽化や観光施設としての需要の高まりもあり、2022年に大幅リニューアルをすることに。施設の指定管理者に、県内外で飲食店を展開する「よね蔵グループ」を迎え、この地域ならではの魅力がギュギュッと詰まった道の駅へと大きく生まれ変わったのです。

「従来の道の駅にある売店や食堂以外に特徴的なのは、デイキャンプエリアやバーベキューエリア、フードコンテナなどでしょうか。車中泊施設のRVパークも人気ですね。一日では足りないくらい、また行こうと思えるような施設を目指しています。いつ行っても楽しめて、新しいワクワクがあるような場所です」と2024年に駅長に就任した林さん。駅長として2年目の夏を迎えました。

キャンプ飯や地元素材を使ったグルメを味わえる「食堂」(右上)※ご提供画像、
手ぶらプラン・区画貸しプランを選べる「デイキャンプエリア」(左下)※ご提供画像、
季節によって温冷を楽しめるてまりの湯源泉使用の「足湯テラス」(右下)
同駅のコンセプトは「自然と遊ぶ、道の駅」。この地域の魅力を味わってもらおうと、新鮮な産直野菜や燕市の名産を味わう“食”、バーベキューやデイキャンプ、公園でアクティブに楽しむ“遊”、足湯や天然温泉でゆったり過ごす“癒”をテーマに、通りすがりではなく、ここを訪れること自体が旅の目的になるような道の駅なのです。
道の駅国上らしい、ワクワクを生み出す秘訣

これだけ大きな道の駅の駅長だなんて……かなり取りまとめるのが大変そうですが、林さんはどのようなお仕事をされているのでしょうか?
「うちの施設は、大きく分けて売店、飲食・コンテナ、日帰り温泉の3つの部門に分かれています。私は駅長として全体の管理もしていますが、メインで携わっているのは売店部門です。産直野菜を扱う『313ファーマーズマーケット』とお土産コーナー『道の駅国上セレクト』の品出しや商品管理などの現場仕事から、スタッフたちのシフト管理まで、店長のような役割をしています。大きな施設なので、それぞれに専門のスタッフがいて、しっかり部門ごとに特色を出しています」
なるほど、だから道の駅国上はどのコーナーに行ってもオリジナリティに溢れているのですね!

同駅限定のソフトクリームが大人気「オフる日カフェ」(中央)。
アルコールとソフトドリンク、手ぶらBBQの当日受付も行う「ピーカンHIGHBALL&BBQ」(右)※ご提供画像
また、道の駅国上の運営で大切にしていることとして林さんが挙げたのは、「まずはやってみる」という挑戦の姿勢。林さんは、売店コーナー「道の駅国上セレクト」で季節ごとに開催している企画フェアを担当しています。
「お正月や天神講など年中行事に合わせたものや、秋には新米とご飯のお共、酒呑童子行列の鬼にちなんだ鬼辛フェアなど、特色のあるフェアを開催しています。今年の春はちょうど『道の駅大賞』で入賞したタイミングだったので、他の入賞した道の駅の特産品をセレクトしました。この地域らしさや自分がおもしろいと思うことをどんどん取り入れています」と林さん。

もちろんこだわりは売店だけでなく、お惣菜コーナー、食堂、テラスでのイベントなどにも。毎月盛りだくさんの企画でお客さんを楽しませ、何度訪れても飽きさせない工夫が随所に散りばめられています。
「道の駅国上は、とにかくお客さまを喜ばせたり、楽しませたりすることが大好きなんです。だからこそ、企画が成功するしないではなく、まずはやってみよう!という気持ちが大事。もう毎日目まぐるしいですが」とほほ笑みながら話す林さんの瞳には、充実感が溢れています。

“体験”を通して伝える地域の魅力
ここまで道の駅国上の魅力をご紹介させていただきましたが、もう一つ、同施設を語る上で外せないポイントがあります。それは、この地域の特色を活かした「体験型」の施設であることです。
「道の駅はまちの顔であり、その地域のことが分かる場所でありたいと思っています。燕市は農産物と洋食器で、食とものづくりという2つの大きな特色があります。道の駅国上では、食堂でキャンプ飯を地元の食材と器で提供したり、バーベキューやデイキャンプでも地元メーカーさんのキャンプ用品やカトラリーを使用したりと、両方を体験できるのは他にない特色ですね」と林さん。


道の駅国上がある燕エリアは洋食器やキャンプ用品の製造で全国に知られる「ものづくりのまち」。江戸時代から続く金属加工技術を基盤に、日本トップクラスの地位を築いています。そんな、地域を代表する地場産業から生まれたアイテムたちを実際に利用し、使い心地を体感できる貴重な場でもあるのです。
2025年の秋もイベントが盛りだくさん。9月は酒呑童子行列、10月は三条燕工場の祭典、11月は収穫祭とお楽しみが目白押しです!
次回は、林さんにフォーカスして、駅長になったきっかけや奮闘する日々について、林さんの思いや挑戦をご紹介します。お楽しみに!