考えて、作って、人を喜ばせることが大好き! 「それがたまたまお菓子屋だっただけ」と笑う、 お菓子の蔵 太郎庵 2代目社長。

考えて、作って、人を喜ばせることが大好き!「それがたまたまお菓子屋だっただけ」と笑う、お菓子の蔵 太郎庵 2代目社長。

あいづaizu
福島県会津坂下町出身

目黒 徳幸 (めぐろ のりゆき)さんの自己紹介

あいうえお作文で、自己紹介します。「メグロ ノリユキ」と申します。
「メ」メンタル強め、(「諦めが早い」「執着しない」ので、メンタルは強めです)
「グ」グローバルなものの視点で、
「ロ」ローカルを大切に、
「ノ」ノリノリ明るいスタンスで、
「リ」理想を追求し、
「ユ」ユルユル余裕の考えで、
「キ」希望と勇気で日本を元気にします、
「メグロ ノリユキ」です。
誰かを優しく照らすような人間になりたい、と努力しています。

「会津の人なら知らない人はいない」というお菓子屋さん、「お菓子の蔵 太郎庵(たろうあん)」。会津若松市を中心に14店舗の直営店があり、サービスエリアや道の駅のお土産売場には、必ずと言っていいほど、ここ太郎庵さんのお菓子が置いてあります。

今回はこの太郎庵の社長、目黒徳幸さんにお会いできることになり、会津坂下町にある「工場売店」を訪ねました。

写真左奥が工場で、店舗2階が株式会社太郎庵の本社・事務所となっています。

太郎庵と言えば「会津の天神さま」

太郎庵さんの看板お菓子は、こちらの「会津の天神さま」。

(「会津の天神さま」のチーズ味。会津の優れた素材・技術等を活かし、会津でしかできない、本物にこだわった魅力ある地域産品「会津ブランド認定品」となっており、左下はその認定の証です。※太郎庵さんご提供写真)

ふわふわのブッセ生地に、甘さ控えめの、甘じょっぱいチーズのクリームを挟んだお菓子。1979(昭和54)年の、太郎庵1号店オープン時に誕生したお菓子だそうです。

今ではこのチーズ味以外にもさまざまな味が販売されており、季節限定の味も登場するのだとか。詳しくはこちらの太郎庵さんの公式WEBサイトで紹介されていますので、見てみてください。

私ごっつぉライターが取材に伺った2022(令和4)年12月には、こんなラインナップの詰め合わせが販売されており…

中でも、個人的に大ヒットだったのが…

こちらの「チョコ」!
後から知ったのですが、この「チョコ」は12月から3月の限定販売。太郎庵さんの公式WEBサイトに「ココア生地にサンドした、ベルギー産チョコのガナッシュクリームにチョコチップ入り」とあるとおり、濃厚で柔らかいクリームの中のカリっとしたチョコチップがたまらなくおいしかったです。別件で会津を再訪した際、この「チョコ」だけを5つ買って帰り、ほぼ全て私が食べました(笑)。販売期間中に再訪できて良かった…。

太郎庵2代目社長

さて、お店の前で迎えてくださったこの方が、株式会社太郎庵 代表取締役の目黒徳幸さんです。

おじいさまが「目黒菓子店」として、ここ会津坂下町でお菓子屋さんを始められたのが太郎庵の前身。その後、お父さまが東京でお菓子作りを学び、帰郷。1979(昭和54)年に「太郎庵」として1号店をオープン。この歴史・経緯は、目黒さん自らがお父さまに取材し執筆をされたという、こちらの「太郎庵の歩み」に詳しく掲載されていますので、ぜひご覧ください。

目黒さんも東京でお菓子作りを学び、横浜でパティシエとして修行。30代の頃に帰郷して太郎庵に入社。2019(令和元)年に代表取締役に就任された、太郎庵の2代目社長さんです。

社長就任前にお父さまに尋ねた2つこと

目黒さんが社長に就任される時、初代社長であるお父さまに2つの質問をしたそうです。

1つ目は「これからも残して欲しいものは?」
2つ目は「私に期待することは?」

この2つの質問に対するお父さまの回答が、いずれも目黒さんが想定していたものとは違ったため、良い意味で肩の力が抜け、今の目黒さんがあるのだとか。

「1つ目の残して欲しいものですが、私はてっきり、“私たちは いのちにやさしい 心ときめくお菓子を通して 会津の風土を描き お客様と共に やすらぎとぬくもりのある しあわせ文化を創造します”と掲げている“太郎庵宣言”を言うと思ったんです。でも違ったんですよね。“本日開店の心”と“ランプの心”この2つを残して欲しい、と言ったんです」

本日開店の心

“本日開店の心”は、太郎庵1号店オープンの日、お客さまは果たして来てくださるのかと不安だったあの日、お店を開けるとたくさんのお客さまがご来店くださったあの喜び・有難さを忘れず、「毎日が開店初日だと思ってお店を開けること」だそうです。「今日が開店初日だったら、私は何をするだろうか?何をすべきだろうか?」という“問い”だと、目黒さんは言います。

この“本日開店の心”は、事務所にも大きく掲げられていました。

ランプの心

“ランプの心”は、太郎庵1号店の古い蔵にあった小さなランプが始まり。ランプのイラストは、今でも太郎庵を象徴するマークとして使われています。

(今回訪れた「工場売店」の看板にもランプのマーク)

「ランプって、遠くまで明るくはできないでしょう?でも、足元を明るく照らしてくれる。近くの人に寄り添って、明かりを灯し、温もりを与える。そんなランプのような存在でいよう。…というのが“ランプの心”です」
と、目黒さん。

「従業員を支援してやってくれ」

もう1つ、目黒さんがお父さまに尋ねられたのが「私に期待することは?」でした。
その答えは「従業員を支援してやってくれ」だったそうです。

「“うちの従業員は、みんな縁あってうちで働いてくれている。だから大切に、支援してやってほしい”って言われたんです。この時、なんか、ホッとしたんですよね。それまでの私は、従業員の先頭に立って引っ張っていく存在、俺がやらなきゃ!俺が引っ張っていかなきゃ!ってすごく力んでいたんです。でも、そうじゃなくて、“従業員の後ろへまわって背中を押す存在、支援する存在になればいいんだ”と気付かせてくれました。ちょうど自分の能力の限界も分かってきたところだったので、 “あぁ、これは依存じゃなくて、共存なんだな”と理解ができました。やっと焦点が合った感覚です」
と、振り返る目黒さん。

「今思うと、会社で笑うことも少なかったですからね。焦点がずれていたんでしょうね、あの頃の私は…」

笑っていなかったんですか!?
今はこんなにニコニコとされているのに?

信じられないです…(笑)。
従業員の前に立ち、引っ張っていかなきゃいけない!なめられちゃいけない!みたいな、自ら課されていたものが大きかったのかもしれないですね…。

“ものを考えて、ものを作って、人に喜ばれること”が好き

そもそも、お父さまの後を継がれること、お菓子屋さんになることに抵抗はなかったですか?

「うん、“俺しかいない!”と思ってましたからね!(笑)」

…と言うと?(笑)

「“俺しかいない!”と思った理由は2つあって、1つは、私は3人きょうだいで、私が長男で妹が2人。父も長男で、“苦労してお菓子屋を営む両親を助けたい、親孝行がしたい”という思いで太郎庵を作った。そんな“親孝行の思い”から始まった太郎庵なので、私もそれを引き継ぎたいと思ったこと。もう1つは、私の本質的な特性に、お菓子屋が合っていると感じたことです」

…本質的な特性?

「もともと、“ものを考えて、ものを作って、人を喜ばせること”が好きなんです。さっき話した父との話がなければ、会社でずっと怖い顔をしていた私ですが、この本質的な特性と、お菓子屋の太郎庵が世の中の皆さんに対してすべきこと、私が従業員の皆さんにすべきことがピッタリと合うことに気付いた。私は“ものを考えて、ものを作って、人を喜ばせること”ができれば良かったんですよ。それがたまたまお菓子屋だっただけで!」
と、笑う目黒さん。

一方、幼い頃からテレビが好きで、「テレビ局に勤めたかった。テレビ番組を作りたかった」とも仰り…

「テレビ局に勤めることも“ものを考えて、ものを作って、人を喜ばせること”ですからね。お菓子屋と同じです。そして、この欲は、太郎庵のテレビCMを全部自分で考えることで満たされています(笑)」
と。

そんな目黒さんの本質的な特性が活かされたテレビCMの一部は、太郎庵さんの公式YouTubeチャンネルでご覧いただけます。

(太郎庵さんのテレビCMの一幕。※太郎庵公式YouTubeチャンネルより引用)

おもしろいです…。
さすがです…。
(笑)

憧れの先輩

最後に会津の魅力的な人を、おふたり紹介していただきました。

1人目は、株式会社保志(アルテマイスター保志)の代表取締役社長、保志康徳さん。

「経営者が集まる勉強会の先輩で、私が会津に戻ってきてから十数年ずっとお付き合いいただいています。私には無いものを持ってらっしゃいますし、明るく朗らかなその人間性にも惹かれ、ずっと憧れの先輩です」
と、目黒さん。

何屋さんなのかな…?と思い調べてみたら、「仏壇・仏具屋さん」。仏壇・仏具の製造と卸だけでなく、直売店を持ち、仏壇・仏具以外のオリジナル木工家具や雑貨の販売もされているようです。私、仏壇・仏具屋さんにお訪ねするのも初めてです…。楽しみです!

元オペラ歌手!?の養蜂家

2人目は、有限会社松本養蜂総本場の代表取締役、松本高明さん。

「松本さん、元オペラ歌手なんですよ。おもしろいでしょう?」

え?元オペラ歌手!?

「そう。長い間イタリアで生活されていたんですよ。私、松本さんとは音楽とワインの話しかしないから、仕事のことはよく知らないんですけど(笑)。ぜひ仕事の話、聞いてきてください!」

はい!分かりました!(笑)

調べてみると、奥会津の山に養蜂場をお持ちのようで、2006(平成18)年には国産で初めて有機蜂蜜の認証を取得されたとのこと。まず蜂蜜がどんな風に作られているのか?養蜂とは?…を勉強してから伺います!ありがとうございます!

最後にとっておきの写真を…

それでは、本記事の締めくくりといたしまして、目黒さんのおちゃめな魅力が伝わる写真をご紹介して終わります。

ね?すてきでしょう?
私からお願いしたわけじゃないんですよ。

「こんなの!こんなの要ります?」と言って、自らポージング。取材に来た私のことまで楽しませて、笑わせてくださるんです…。終始「人を喜ばせたい」という本質的な特性があふれ出ている方でした。

ちなみに目黒さんのネクタイは、太郎庵オリジナルの「会津の天神さま柄」で、「お醤油が飛んで取れなくなっちゃったんだよね」と、笑いを取るための仕込み済。さすがでしょう?(笑)

目黒さん、楽しい時間をありがとうございました!
ご自身がめいっぱい楽しんで、周りの皆さんを楽しませて・喜ばせているご様子がよく分かりました。取材前後の社員さんや店舗スタッフさんとのやりとりでも、その様子を垣間見たように思います。

これからも楽しく元気に!会津を盛り上げていってください。
私たちごっつぉLIFEもその一助となれるよう、頑張ります!

目黒さんの特別なこと
考えて、作って、人を喜ばせること
お腹いっぱい頂きました!
ごっつぉさまでしたー!!

目黒さんの#マイごっつぉ

志田浜から見る猪苗代湖と磐梯山

太郎庵2代目社長の目黒さんにとって特別なこと「マイごっつぉ」は、志田浜から見る猪苗代湖と磐梯山。「志田浜」は猪苗代湖の東側。白い砂浜が広がり、この写真のように、猪苗代湖の向こうに磐梯山を望む、風光明媚な場所だそうです。「昔、神奈川県の逗子に行った時に、相模湾の水辺と遠くに見える富士山の美しさに息を飲んだんです。その時は気付かなかったんですが、会津に帰ってきてからこの志田浜に来て、あれ?ここにもあるじゃないか!素晴らしい景色が!逗子で感動したあの景色と同じだ!って気付いたんです」と目黒さん。今まで当たり前だと思っていた景色が、輝いて見えた瞬間だったそうです。「今まで気付いていなかった自分に驚きました。美しいものは、自分が生まれ育った会津に、身近なところに、もっとあるんだな、と。見ようとしていないだけなんですよね、たぶん。焦点が合っていないだけ」。こう語る目黒さんは、今も現在進行形で、まだ自分が見ようとしていない、焦点が合っていないものがあるはずだと思い、それを探している途中なんだろうな…。その姿勢、すてきです。私もそうしよう。見ようと思えば、もっと見えるはず!気付くはずですもんね!

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