
「にいがた」と「あいづ」を中心に、地域の誇りや宝物を支える人々の物語をご紹介してきた「ごっつぉLIFE」。
これまで100人を超える方々との出会いを通じて、地域や文化の継承者、地域の新しい価値に取り組む方々の情熱や知恵、その土地の魅力を伝えてきました。
また、ごっつぉLIFEでは魅力の発信とは別に、これまで登場いただいた方々に新たなつながりや交流を持っていただくことを目的とした登場者間交流も実施しています。
今回はその様子をお伝えする第3弾として、今年度実施した3件の交流をご紹介いたします!
まず、ご紹介するのは、昨年10月に実施した
田上町にある「道の駅たがみ」から、地域文化継承に取り組む馬場 大輔(ばば だいすけ)さん(ごっつぉLIFE県央 2023.8.9参照:https://gozzo-line.com/kenoh/5895/)と、日本酒の新しい価値を追求する「笹祝酒造」の笹口 亮介(ささぐち りょうすけ)さん(ごっつぉLIFE新潟 2025.4.9参照:https://gozzo-line.com/niigata/9677/)の登場者間交流です。

道の駅たがみの交流スペースで対談したのは、道の駅たがみの駅長を務める馬場大輔さんと新潟市西蒲区にある笹祝酒造の笹口亮介さんです。
馬場さんは、道の駅たがみが孔子の言葉「近き者喜びて、遠き者来たる」をコンセプトとしていることを語りました。地域の人が本当にいいと思うことが口コミで広がり、やがて外部の人が訪れるようになる、そんな思いが込められています。
また、田上町は竹の産地でもあることから、馬場さんたちが中心となって竹林を活用したイベント「たがみバンブーブー2025」を開催するなど、地域資源を活かしたイベントにも取り組んできました。

対して、笹口さんが2025年の話題と挑戦として挙げたのが、昨年販売を開始した商品「笹祝BAMBOOSHOOTS(バンブーシュート)」。この商品は、40年近く働いたベテラン杜氏が3月に引退し、若手中心の体制へシフトして誕生した新しいお酒です。新酒と新体制を芽が出たばかりの竹の成長と重ね合わせているといった話など、お二人の対話はまさに「竹」から生まれていきました。
交流会では、田上町の竹林の課題も話題に上がりました。竹の価値が低下し、放置される竹林が増えている現状。しかし竹を使った商品開発を通じて、地域の課題に向き合うことができるのではないか——そんな可能性が二人の言葉から広がりました。

会話は竹を使った酒かす製品、竹炭を使った米作り、竹紙を使ったラベルデザインなど、実践的なアイデアへと移っていきました。
続いてご紹介するのは、昨年10月に実施した
阿賀野市で林業とものづくりをつなぐ「Junshin-潤森-」成川 潤(なるかわ じゅん)さん
(ごっつぉLIFE阿賀野 2024.5.1参照:https://gozzo-line.com/agano/7997/)と、
伝統を守り、日常に寄り添う染め物を作る「藤岡染工場」野﨑 あゆみ(のざき あゆみ)さん(ごっつぉLIFE阿賀野 2022.11.16参照:https://gozzo-line.com/agano/3754/)の登場者間交流です。

続いては、阿賀野市で林業経営を営むJunshin-潤森-の成川潤さんと、270年の伝統を持つ同じく阿賀野市にある藤岡染工場の野﨑あゆみさんの交流会です。
今回は、野﨑さんの「手ぬぐいの用途がなかなか伝わらない、手ぬぐいを使わずに飾っているという声を多く聞く」という課題と、日常使いの木製品を提供する潤森さんと連携することで「手ぬぐいの日常使いが提案できるのでは」というアイデアから、交流会の開催に至りました。
成川さんは林業だけではなく製材、木製品製造、材料供給まで手がけています。立木一本が500円という現実から出発し、それが製材されると数千円になり、加工されることで初めて価値が生まれることを説明してくれました。かつてはチェーンソーで動物を彫刻する作家活動から出発しましたが「そうしたものでは生計を立てるのが難しい」と気付き、器や日常雑貨の製造へシフトしたといいます。

一方の野﨑さんは、注染という手ぬぐい染めの技法を作品制作にも応用し、毎年美術展覧会に出品を続けています。「白い糊を置いて、じょうろで色を注いで染める。一発勝負です」と笑顔で語る野﨑さんの言葉に、手仕事の尊さがうかがえました。
お二人の共通点は「商品ありきではなく、想いや課題があるから事業や作品が生まれた」ということ。「毎回全く同じものは作れない。手仕事だから」という野﨑さんの言葉に、大きく頷く成川さん。

対談中に具体的な協業の可能性も浮かび上がり、機械では作れない温もりを知っている、お二人ならではの思いがカタチになりそうな予感がしました。地域への向き合い方が一致した二人だからこその連携が生まれそうですね。
最後にご紹介するのは、昨年10月に実施した五泉市で暮らしを彩るニットアイテムを手がける「サイフク」斉藤 佳奈子(さいとう かなこ)さん(ごっつぉLIFE五泉 2023.7.12参照:https://gozzo-line.com/gosen/5667/)と、佐渡で版画家として活動する本間 尚子(ほんま しょうこ)さん(ごっつぉLIFE佐渡 2023.11.29参照:https://gozzo-line.com/sado/6829/)の登場者間交流です。

最後は、五泉市の老舗ニットメーカー「サイフク」の斉藤佳奈子さんと、佐渡市在住の版画家・本間尚子さんです。オンラインでつなぎながら進められた対話では「本当に初対面!?」とこちらは感じるほど、お二人の想いが通い合っているのを感じました。
斉藤さんは、本間さんの作品に感じた「新潟の自然を大切に表現する視点」に共感。サイフクも雪国新潟の自然を商品化してきた企業であり、北欧のテキスタイルデザインに通じる本間さんの版画世界と親和性があると考えたといいます。
対する本間さんは「エチゴビール」のラベルなど、複数の企業とのコラボレーションに携わった実績があります。
お二人は、版画の世界観をニット製品として商品化できるか、その可能性について話し合いました。実現に向けては「色数をどうするか」という実務的な課題もあります。ニット製品は色数が限定される特性があり、繊細な版画をそのままでは表現できません。
しかし、その制約こそが新しい美学を生むのではないか。お二人の気づきが交錯する瞬間でした。
また、斉藤さんが語った「雪国新潟の世界観」が印象的です。川端康成の小説「雪国」のように、降りしきる雪、積もる雪、その静寂。冷たそうなのに温かい、ふわふわした質感の中にある、矛盾した美しさをニットで再現したいという想い。本間さんも「冬が寒くて嫌だけど、温かいイメージもある」という複雑な感覚を「ミルク色の冬」という作品で表現していると語ってくれました。山に雪が降る様子がダークにならないように、その中に楽しさを感じさせる光を入れるという思いを、作品に込めたといいます。

話は進むにつれて、製作期間の課題も浮き上がりました。来年の秋冬の商品化を目指すなら、2月中旬までにはデザインと色数を決定する必要もあるそう。金額やブランケット、バッグといった商品形態についても、二人で今後詰めていかなければなりません。ニットと版画の協業から、一体どんなアイテムが生まれるのか……ワクワクしますよね!
最後に、今回の交流会について、本間さんは「こういう場がなければ知り合わなかった」と嬉しそうに話してくれたことも印象的でした。
今回の交流会の参加者の皆さんからも感想をいただきました。
「竹をきっかけに、地域や立場を越えた本音の対話が生まれ、とても刺激的な時間でした。 この出会いが、田上町の竹林や地域資源の新しい価値につながっていくと感じています」(道の駅たがみ 馬場さん)
「伝統産業である日本酒蔵が抱えている課題と、田上の街が抱えている課題、それぞれがクロスする場所があって協力することで、解決する方法があるのではないかと気が付きました」(笹祝酒造 笹口さん)
「染めの技術、工程など、異業種のものづくりは非常に勉強になり、とても繊細なスキルが求められることがわかりました。自分の関わる分野・業界だけでなく幅広い視野で関わりを持ち、どう世の中の課題をクリアにしていくか、生涯かけて行っていきたいと改めて確信しました」(潤森 成川さん)
「ものづくりをしているもの同士、共感できるところがたくさんありました。木に対する思い、考えをお聞きし、林業について学ぶことがたくさんあり実りある交流会でした」(藤岡染工場 野﨑さん)
「人と人が出会って新しいことが生まれる、そのワクワク感が楽しかったです。形にできるように頑張ります」(サイフク 斉藤さん)
「まず、佐渡に居ながら、五泉という地域の方との繋がれたことに感謝です。そして、サイフクさまのニットの世界観、そこに広がりをみせる景色のお話しが聞けて私の世界も広がりました。ありがとうございました」(版画家 本間尚子さん)
この交流会から見えてきたのは、地域で活躍する方々が「地域の課題に向き合い、その課題をビジネスに転換しようとしている」という共通の姿勢。竹林の放置、林業の低採算性、ニット産地のブランド化。どの方々も「地域を良くしたい」という純粋な想いから出発しています。
ごっつぉLIFEが100人を超える登場者との対話を重ねてきたのは、こうした一人一人の取り組みが地域全体を豊かにする大きな流れの一部になることを、たくさんの方々に知っていただくためでもあります。
さて、今回の交流会イベントを通して、どんな「ごっつぉ」が生まれるのでしょうか?
皆さん、楽しみにしていてくださいね!
今回交流したごっつぉLIFE登場者の皆さまの記事もぜひご覧ください!
・「道の駅たがみ」から地域文化継承に取り組む馬場 大輔(ばば だいすけ)さん
(ごっつぉLIFE県央 2023.8.9参照:https://gozzo-line.com/kenoh/5895/)
・日本酒の新しい価値を追求する「笹祝酒造」の笹口 亮介(ささぐち りょうすけ)さん
(ごっつぉLIFE新潟 2025.4.9参照:https://gozzo-line.com/niigata/9677/)
・林業とものづくりをつなぐ「Junshin-潤森-」成川 潤(なるかわ じゅん)さん
(ごっつぉLIFE阿賀野 2024.5.1参照:https://gozzo-line.com/agano/7997/)
・伝統を守り、日常に寄り添う染め物を作る「藤岡染工場」野﨑 あゆみ(のざき あゆみ)さん
(ごっつぉLIFE阿賀野 2022.11.16参照:https://gozzo-line.com/agano/3754/)
・暮らしを彩るニットアイテムを手がける「サイフク」斉藤 佳奈子(さいとう かなこ)さん
(ごっつぉLIFE五泉 2023.7.12参照:https://gozzo-line.com/gosen/5667/)
・佐渡で版画家として活動する本間 尚子(ほんま しょうこ)さん
(ごっつぉLIFE佐渡 2023.11.29参照:https://gozzo-line.com/sado/6829/)