こんにちは!ごっつぉLIFE編集部です。
すてきな人や場所、ものとの出会いやご縁があると、心がワクワクしたり、自分も頑張ろうと思えたり、「あぁいいひとときだったなぁ」なんて振り返ってしまうもの。
思い出に浸る時間もまた楽しいものですよね。
これまでの取材を振り返る「ごっつぉライターのこぼれ話」では、取材のこぼれ話から、登場いただいた方々に聞いた地域のお話、ライターが感じたことなど、つれづれなるままにご紹介しちゃいます。
今回は、燕市にある「自然と遊ぶ道の駅 SORAIRO国上(以下、道の駅国上)」の林さんから始まったご縁から振り返ってみましょう。
目次
燕市にある道の駅国上(くがみ)は、名僧・良寛ゆかりの国上山の麓に位置しています。彌彦神社と寺泊を結ぶ県道新潟寺泊線沿いにあり、2002年のオープンから20年を経て、2022年に大規模リニューアルを実施しました。
道の駅国上は、ごっつぉライターの私もよく家族で遊びに行く場所です。売店や食堂だけでなく、日帰り温泉「てまりの湯」に加え、手ぶらBBQやデイキャンプ施設もあり、いつ訪れてもワクワクするんですよ。
林さんは2024年4月、リニューアル後の2代目駅長に就任。しかし、これまで同館で働いていたわけでも、他の観光施設で経験を積んでいたわけでもなく、全くの異業種からの就任でした。施設の責任者である駅長を務めるに至った経緯や、挑戦への思いなど、駅長として奮闘する林さんにお話を伺ってきました。
林さんからおすすめいただいたのが、道の駅国上から車で15分ほどの場所にある燕市水道町の「KUBO LABO(クボラボ)」。ラーメン店がひしめくエリアで、独自のジャンルを築き人気を博しているラーメン店です。
「トリュフ香る塩らぁめん」「醤油らぁめん」の2品がレギュラーメニューですが、それ以外にも仕入れた素材で変わる限定メニューが並びます。中でも、林さんおすすめの2杯をいただいたのですが、それはもう、感動のおいしさ!スープ、麺、チャーシュー、トッピングと全ての完成度の高さに驚きました。
「KUBO LABO」という店名の通り、店主の久保さんはまるで研究者のよう。おいしさへの探求は尽きることなく、毎日進化が止まらないのです。今夏は、新潟県柏崎市椎谷産のもずくを使った和え玉が登場していました。あぁ…今すぐ燕市に飛んでいきたい(笑)
お一人目の「つながる人」は、燕三条工場の祭典実行委員会専務理事、そして家業である老舗料亭「遊亀楼 魚兵(ゆうきろう うおひょう)」の代表取締役社長を務める結城靖博(ゆうきやすひろ)さん。結城さんは、魚兵を含む会社を3社経営しながらも、さまざまな地域活動に参加し「ミスター燕三条」と呼ばれるほど、まちづくりを代表する一人でもあります。
三条市に生まれ育ち、家業を継ぎながら、大好きな地元の活動にも貢献している──。取材前の私の印象はそのような方で、実際に間違いではありませんでした。しかし、インタビューをしてみると、その背景には若かりし頃のほろ苦い経験と、結城さんの人生を変えた一言があったのです。私もお話を聞いていて、心がジーンと震えました。
そして結城さんには、10月に開催される「燕三条工場の祭典2025」の見どころについても語っていただきました。お出かけ前に、ぜひ記事を読んでみてください。
最後にご紹介いただいたのが、燕市の宮町商店街でカフェ併設のフォトスタジオ「写真と珈琲 SIIKS(シイクス)」を営む、歸山芳文(かえりやまよしふみ)さん。何気ない日常から、結婚式や成人式などの特別な人生の節目まで、写真を通してかけがえのない思い出を残してくれるカメラマンです。
「カメラマンがカフェを?!」と最初は半信半疑でしたが、フォトスタジオで珈琲やランチを自ら調理して提供する理由には、歸山さんらしさが詰まっていました。
また歸山さんはカメラマンの枠にとどまらず、一人であれもこれも何役もこなすマルチクリエイターなんです。現在に至るまでの苦悩やさまざまな人との出会い、歸山さん流の「持続可能なまちづくり」について、大変興味深いお話ばかりでした。
今回の「けんおうエリア」は、10月に開催される「燕三条工場の祭典2025」を目前に、燕三条エリアでご自身の仕事だけでなく、まちづくりでも活躍している3名に登場していただきました。
「できれば『工場の祭典』に参加する前に、ぜひ行ってみてもらいたいですね。あそこに行けば、この地域のものづくりの歴史や技術が分かりやすく学べますよ」と、一人目のつながる人、「燕三条工場の祭典実行委員会/遊亀楼 魚兵」の結城さんからおすすめいただいた場所があります。
インタビュー取材後、夏休み中の子どもたちを連れて行ってみました。その場所とは、「燕市産業史料館」です。
金属加工のまちとして知られる新潟県燕市にある燕市産業史料館は、燕のものづくりの歴史や技術を学べる施設。江戸時代から続く鎚起(ついき)銅器やヤスリ、煙管(キセル)などの伝統的な金属工芸技術をはじめ、近代の金属洋食器などの展示を通じて、燕というまちが発展してきた産業の歩みを知ることができます。
さらに体験工房館では、実際に金属加工に触れられる体験ができるということで、子どもたちも楽しみにして来ました。
館内は、「本館」「別館」「新館」「体験工房館」「ミュージアムショップ」の5つに分かれており、それぞれに特色ある展示が並びます。
現在も活躍する金工作家や人間国宝の作品も展示されていて、伝統技術が現代にも脈々と受け継がれていることを実感しました。時代とともに進化し続ける職人たちの技術力に心から感動するとともに、約400年も続く燕の金属加工技術の歴史に圧倒されるばかりです!
実物はもちろん、映像や復元展示とさまざまな見せ方で紹介しているので、小学校中学年の息子も、興味深く見て回ることができました。
新館の中にある世界のスプーン館では、伊藤豊成さんという方が集めた世界中のスプーンが並びます。そのコレクションはなんと約5000本!同じカトラリーでもこれほど多様な形やデザインがあるのかと驚きました。また、日本の金属洋食器展示室では、燕で作られた美しいスプーン、フォーク、ナイフの数々を鑑賞でき、その精巧な仕上がりに思わず見入ってしまいました。
そして、今回のお楽しみである体験工房館へ。こちらでは、鎚目(つちめ)入れやぐい吞み製作などの伝統工芸技術を体験することができます。メニューによって、予約の有無や開催日などが異なるので、事前に同館のホームページをチェックしてみてくださいね。
今回、子どもたちが選んだのは「チタン製スプーン酸化発色体験」です。予約不要で、所要時間はおよそ5分と気軽に挑戦できるのも魅力。小さな子どもから大人まで楽しめますよ。
デザートスプーン・フォーク、ヨーグルトスプーン、コーヒースプーンから好きなものを選び、さらに24種類もの色の中から自分好みの色を選べます。1色でもグラデーションでもOK。
酸化発色技術とは、特殊な溶液と電気を用いて、チタンの表面に透明なサビを発生させることによって、発色させる技術。透明なサビは酸化皮膜といい、電圧の強さにより皮膜の厚さが変わり、色も変わって見えます。その原理はシャボン玉の見え方と同じ仕組みなんだそうです。
わずか数分で、まるで魔法のように色が変わっていく様子に、子どもたちも思わず「おぉ~!」と感動の声を上げていました。
燕のチタン加工技術は世界からも注目を集めているそうで、その一端を自分の手で体験できるなんてぜいたくですよね。
スタッフの方が丁寧に説明してくれるので、金属加工の知識がなくても安心して体験できます。子どもたちも、自分好みのカラーリングのスプーンができてうれしそう!夏休みの良い思い出になりました。
さぁ、いよいよ10月2日(木)、3日(金)、4日(土)、5日(日)に「燕三条工場の祭典2025」が開催されます!普段は公開されていない工場が一斉に公開され、見学や体験ができる特別なイベントです。燕市産業史料館で基礎知識を学んだ後に参加すると、より深く燕三条地域のものづくりの魅力を感じられそうですよ。ぜひ、一度足を運んでみてください。
【参考】
燕市産業史料館
https://tim.securesite.jp/index.html
燕三条工場の祭典
https://kouba-fes.jp/